天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
木漏れ陽の下で
 今朝は朝から学校中が騒がしい。


「おはよう」

「あっ青海、ちょうど良いや。着替えたら濡れ雑巾運びたいから手伝ってくれない?」

「ん、了解」

 教室に一歩踏み入ると、体育委員の三浦さんから早速指示が飛んでくる。


 今日は体育祭。
 校庭の脇に聳え立つ欅の大木の青々とした梢が、雲一つなく澄み渡った空と鮮やかなコントラストを作っている。絶好の体育祭日和だ。


 紺色のジャージに着替えるとバケツの水に浸したまっさらな雑巾を絞り、別のバケツに次々と放り込んでいく。

「用意が出来た人から椅子を持って校庭に出てー。うちのクラスは西側の一番端でーす!」

 三浦さんが声を張っている。

「青海、雑巾絞り終わったらバケツの水、バルコニーの排水溝に流していいから」

「分かった」


 10枚ほどの雑巾を絞り終え、「よいしょっ、と」と水のバケツをバルコニーに運ぶ。

 4階のここからは校庭全体が一目で見渡せる。


 バルコニーに出たその瞬間に、グラウンドの真ん中に白いポロシャツと黒のジャージパンツ姿が眼に飛び込んでくる。

(……)

 他の先生たちや体育祭役員が大勢いるのに、どうして真っ先にこの人を見つけてしまうんだろう…
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