天空に一番近い蒼─好きになった人は腰掛け体育教師でした
「位置に着いて」
パーン…!
私の前の列が走り出す。
走るのはあまり得意じゃないのだけど、何か1種目は出なくてはならなくてやむを得ず障害物競争を選んだ。
先生は─
私はトラックの内側に眼を向ける。
スターターは別の先生に代わって、最後の障害の平均台の傍に待機している。
(いや、別にこの人がどこにいようが私には関係ないもん…)
「位置に着いて!」
私の番が廻ってきた。
パァーン、と乾いたピストルの音と共に一斉に飛び出す。
まずはハードル2台を跳び越し、先行する人に続いて大きな鯉のぼりに潜り込む。たふたふとまとわりつく緋鯉の中を這って進み、ようやく尻尾から顔を出すと燦々と降り注ぐ陽射しに眼が眩んだ。
眩しさにちかちかしながら次のトラップに走る。机の上に用意された空き缶を五つ積み上げ、続いて縄跳び。脇で係の子が「1、2…」と数えてくれる。
「10!」をコールされてすかさずまた駆け出す。私は6人中現在3位。4位が直ぐ後ろに迫っている。
(あと少し…!)
最後は平均台だ。
「えっ…」