ピュアダーク
「テレビて私を見たってどういうこと?」

「君の学校が竜巻で被害にあったニュースが流れただろ。たまたまそれをみてたら、ちらっと君が映ったんだよ。だからすぐに飛んできた。そしたらまた偶然、アメリアの事件のことが耳に入って警察に問い合わせたら、今病院にいるって聞いて、ここを探し当てたというわけ。君は大丈夫そうだから安心したけど、アメリアの具合はどうなんだい」

 ベアトリスはパトリックの行動力にあっけにとられる。

 どこをどうやってそんな情報を見つけるのか、FBI並みの行動に圧倒された。

「首を怪我したけど、命には別状はないから大丈夫。でもショックは大きいと思う。だって通り魔に襲われたんだもの。私もほんとに怖かったわ」

 通り魔という言葉にパトリックは反応した。

 それがどういうものか判っていた。

 普通じゃない犯人の行動。

 だからこそすぐにダークライトと結びつき、大体の見当がついた訳だった。

「そっか、でももう大丈夫だよ。僕が側にいる。これからもずっとベアトリスの側にいる。あっ、その前に結婚だね」

「ちょっと待ってよ。パトリックは私より一年上だけど、まだ同じ高校生でしょ。結婚なんて早すぎるし、もっとやるべきことだってあるでしょう」

「心配はいらないよ。君と離れ離れになってから僕は一生懸命勉強した。そしてもう大学も卒業して、今は社会人としてそこそこのお金も稼いでいる。充分君を養っていけるよ」

 ベアトリスは絶句した。何も言葉が出てこない。

「そんな驚くことないよ。飛び級なんて珍しくないし」

 ベアトリスはパトリックがどれだけ飛び級して何歳で大学入ったのか考えていた。

 やっぱりありえない。

 この人一体何者?

 ベアトリスがあっけにとられているときも、パトリックは嬉しそうに笑っている。

 長いこと会ってなくとも、その笑顔は昔に見た子供の頃のあどけなさが確かに残っていた。

 真っ直ぐな性格で、何事にも一生懸命の眼差しはどこか懐かしい気持ちにさせてくれた。

 くすっとベアトリスが笑った。

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