ピュアダーク
「あいつ、口では思いを断ち切ったとか言ってるが、気持ちは全くついていってないのがバレバレなんだよ。言い訳してこそこそやってきているくらいだ、必ずまた暴走するに決まってる。あいつはそういう奴なんだ」

 パトリックは来た道を戻りながら、今後の対策を練っていた。どこまで白を切れるか、パトリックもまたベアトリスに真実を知られるのを恐れた。

 その時自分に不利になることが見えていた。

 ディムライトがホワイトライトを追いかける。

 親同士が作った婚約証明書がある限り、どうみても権力を手に入れたいがための構図が出来てしまうと懸念した。

 ベアトリスがなぜ自分の身分を知らされずにこの地上界にいるのか、アメリアやリチャードがなぜそれを必死に隠そうとしているのか、その謎を彼女が解いたとき、また新たな困難にぶち当たる。

 それもまたパトリックの頭を悩ます種だった。

 そしてダークライトが動き出してしまった。

 穏便に事が運ぶなどと、断然思えない。

 眉間を押さえながら何かいい対策はないかパトリックは必死に考えていた。

 いっそこのままベアトリスをどこか遠いところへ連れて行きたかった。

 だがこのタイミングでそれをしてしまうと、益々ベアトリスに怪しまれる。

 危険が迫る中で秘密を守り通し、ダークライトの攻撃をかわす。

 パトリックは頭が痛かった。

 自分でもできるかどうか不安になるほどの問題だった。

 しかしやるしかない。やらなければベアトリスを待ってるものは──。

 考えただけでパトリックはぞっとした。それは口にだすのも恐ろしい言葉であった。
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