ピュアダーク
 ベアトリスを巡っての周りの者達が過ごす金曜日の午後、それぞれの思いが渦を巻き、さらにコールとゴードンはそこに荒波を立てようと仕掛けをしていく。

 コールが運転する車にゴードンは乗り、上機嫌で目をキラキラさせながら罠をどこに仕掛けようかと窓から犬のように顔を出していた。

「おい、ゴードン、あまり変な行動はしないでくれ。どこでリチャードが目を光らせてるかわからねぇ。あまり目立つことなく計画を実行させないと。だけどこんなに拠点地から離れた場所でも感知できるのか」

「この辺は注意しないと見逃しちゃうかもしれないけど、範囲は広い方がいいでしょ。でも瞬間移動は遠くなると一回でできない。回数を分けてテレポートすれば目的地にはなんとかたどり着ける。ただ、その場合若干誤差が生じるけど、そこにすぐに行けないよりはいいでしょ」

「俺もこの車も一緒に瞬間移動で連れて行けるのか」

「うーん、一人くらいならそれも可能なんだけど、車ごとはちょっと無理。それに場所が遠くなると、コールを一緒につれ行った場合、益々着地の誤差が大きくなるかも。でもおいらやってみるよ。賢くなれるんだったら、頑張る」

「おー、その息だ、ゴードン。やっぱりお前は最高のパートナーだぜ」

 コールはわざとらしくゴードンを持ち上げる。

 それを真に受けてゴードンは益々得意げになっていた。

「あっ、ここここ、ここも人が集まる。買い物に来るかもしれない」

 ゴードンは車の窓からモールの建物を指差していた。

 ゴードンに言われるままコールはそこを目指した。

「ここのモールは広いや。部分部分に仕掛けないと、おいら力尽きちゃう。まずはあっちの入り口」

 コールはゴードンの部下のように素直に命令に従った。

 ゴードンもそれが楽しく、またコールを何も疑わず信用していった。

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