ピュアダーク
 アメリアが寝ているのをいいことに、手を伸ばし首元のあたりに掲げると、優しい乳白色の光がぼわっとにじみ出だした。

 アメリアはそれに反応して目を覚ました。

「ん? ブラム! 今何時だと思ってるの、それに勝手に入り込むなんて失礼じゃないの」

 体を慌てて起こす。

「助けを求めたのはそっちだろう。折角地上に降りてきたんだ、もっと歓迎してくれてもよさそうなのに。やっとまたこうやって会えたんだから」

「いつも会ってるじゃない」

「あれはホログラムで、実際の私の姿ではない」

「あっ、それよりブラム。ベールをつけてないじゃない。ダークライトが気づいたらどうするの」

「大丈夫だって。長居はしないから。君の首のことが気になったから寄ってみたんだ。ちょっと手を加えといたよ。そのギプス外しても大丈夫だ。それじゃ目的は果たせたから今日はこれで帰るとしよう。またね、愛しのアメリア」

 ブラムはあっさりと姿を消した。

 アメリアは呆れたようにため息を一つ吐いた。

 そしてギプスに手をかけそっと外し、首を左右にゆっくり回してみた。

 ブラムの言ったとおりすっかり治っていた。

 ブラムの行為に素直になれない思いは、ため息になって現れた。

 ふてくされたようにまたベッドに潜り体を横に向けると、何かを抱きつくように体を丸める。

 目をぎゅっと瞑りながら肩を震わせていた。

 まつ毛はその時ぬれて光っていた。

< 182 / 405 >

この作品をシェア

pagetop