ピュアダーク
31 次のステップ
ゴードンは胸を張って得意げに笑みを浮かべながら、少しもったいぶったわざとらしい口調で話しかけた。
「ねぇ、ヴィンセントの存在忘れてない? あの子もきっとリチャードから何か情報を得ているはず。あの子から聞き出すんだ」
「ゴードン、そんなことができたらとっくにやっている。リチャードの息子だぜ、あいつがベラベラしゃべる訳がない。それに俺たちが近づいたら何か企んでるとすぐに警戒するさ」
「だ、か、ら、警戒させないように近づくんだ」
「どうやって」
コールは半ば呆れていた。
ゴードンのアイデアなどはなっから大したことないものだと決めつけ、いつもなら気が立って怒鳴り散らすところだが、助けを受けた手前もあり大人しく聞いていた。
「おいらの知り合いのダークライトに面白いのがいるよ。ザックっていうんだ。そいつもおいらと同じで隠れて生活してるんだけど、そいつはノンライトの体を支配できるんだ」
「それならただの影と同じじゃないか」
「それが違うんだって。ザックは他人の意識をノンライトに植え付けられるんだ。コールがノンライトの中に入り込む手伝いをしてくれるってこと。だからダークライトの気を一切気がつかれることなく、ノンライトとして普通に行動できる。その姿でヴィンセントに近づいてスパイするのさ。その間にコールの体は傷を ゆっくり治せる。おいらが面倒見ておく」
「なるほど、やってみる価値はありそうだな。まともにぶつかって勝てる相手じゃないのなら、まずは情報収集か。ヴィンセントのクラスメートになりすませるなら奴の行動を監視できる」
それと同時にコールは影を仕込んだジェニファーのことも思い出していた。
「それからコールが急に動かなくなったと怪しまれてもいけないので、片っ端からノンライトに影を仕込むのはどう? 影を仕込むぐらいなら、オイラも少しはできるし、オイラの知り合いにも頼めるよ。リチャードは刑事だから事件になれば仕事が増えるし、しばしコールの真の行動から目が離れる」
「そうだな、いい作戦だ。ゴードン、見直したよ」
「えへ、褒められておいら嬉しい。それじゃ朝になったら話つけてくる。彼はノンライト相手にアンティークショップをやってたはず。あいつが好みそうなものもって行けば きっとやってくれる。そしてその後はコールが成りすます相手を見つけて連れてくるね」
ゴードンは自分のアイデアで事がこれから進むことにワクワクして、鞠のようにピョンピョン辺りを飛び跳ねた。
やる気満々になっている。
コールはゴードンの浮かれる姿に知らずと和んでいた。
自分に懐く犬を側に置いてる気分になっていた。
仲間を道具としか思わないコールには珍しい感情だった。
その時、ゴードンの背中から影が浮き上がり、コールからの指示はないか様子を探っていた。
コールは首を横に振る。
影はまたゴードンの体に引っ込んだ。
コールは一時の感情に左右されまいと、ゴードンに背を向け横向きになった。
意思が揺らぐことなど一度もなかったが、ゴードンにはどこか振り回されるやりにくさを感じていた。
腕にめちゃくちゃに巻かれた包帯を空虚な瞳で眺めていた。
「ねぇ、ヴィンセントの存在忘れてない? あの子もきっとリチャードから何か情報を得ているはず。あの子から聞き出すんだ」
「ゴードン、そんなことができたらとっくにやっている。リチャードの息子だぜ、あいつがベラベラしゃべる訳がない。それに俺たちが近づいたら何か企んでるとすぐに警戒するさ」
「だ、か、ら、警戒させないように近づくんだ」
「どうやって」
コールは半ば呆れていた。
ゴードンのアイデアなどはなっから大したことないものだと決めつけ、いつもなら気が立って怒鳴り散らすところだが、助けを受けた手前もあり大人しく聞いていた。
「おいらの知り合いのダークライトに面白いのがいるよ。ザックっていうんだ。そいつもおいらと同じで隠れて生活してるんだけど、そいつはノンライトの体を支配できるんだ」
「それならただの影と同じじゃないか」
「それが違うんだって。ザックは他人の意識をノンライトに植え付けられるんだ。コールがノンライトの中に入り込む手伝いをしてくれるってこと。だからダークライトの気を一切気がつかれることなく、ノンライトとして普通に行動できる。その姿でヴィンセントに近づいてスパイするのさ。その間にコールの体は傷を ゆっくり治せる。おいらが面倒見ておく」
「なるほど、やってみる価値はありそうだな。まともにぶつかって勝てる相手じゃないのなら、まずは情報収集か。ヴィンセントのクラスメートになりすませるなら奴の行動を監視できる」
それと同時にコールは影を仕込んだジェニファーのことも思い出していた。
「それからコールが急に動かなくなったと怪しまれてもいけないので、片っ端からノンライトに影を仕込むのはどう? 影を仕込むぐらいなら、オイラも少しはできるし、オイラの知り合いにも頼めるよ。リチャードは刑事だから事件になれば仕事が増えるし、しばしコールの真の行動から目が離れる」
「そうだな、いい作戦だ。ゴードン、見直したよ」
「えへ、褒められておいら嬉しい。それじゃ朝になったら話つけてくる。彼はノンライト相手にアンティークショップをやってたはず。あいつが好みそうなものもって行けば きっとやってくれる。そしてその後はコールが成りすます相手を見つけて連れてくるね」
ゴードンは自分のアイデアで事がこれから進むことにワクワクして、鞠のようにピョンピョン辺りを飛び跳ねた。
やる気満々になっている。
コールはゴードンの浮かれる姿に知らずと和んでいた。
自分に懐く犬を側に置いてる気分になっていた。
仲間を道具としか思わないコールには珍しい感情だった。
その時、ゴードンの背中から影が浮き上がり、コールからの指示はないか様子を探っていた。
コールは首を横に振る。
影はまたゴードンの体に引っ込んだ。
コールは一時の感情に左右されまいと、ゴードンに背を向け横向きになった。
意思が揺らぐことなど一度もなかったが、ゴードンにはどこか振り回されるやりにくさを感じていた。
腕にめちゃくちゃに巻かれた包帯を空虚な瞳で眺めていた。