ピュアダーク
「やめるんだ、ポール!」

 ヴィンセントは素早く近寄り、ポールに扮したコールの腕を掴んだ。

 コールははっとして我に返り、さっと手を離した。

 ブラッドリーは口の端から血を出し、腹を抱えこんで苦しそうに咳をしていた。

 そして他の生徒達に運ばれて教室を出て行った。

 ヴィンセントは露骨に怪しげな顔つきを見せていた。

 コールは思わずヒヤリとして、目を逸らす。

 ──まさかバレたか。

 コールが大人しくなったと判断したヴィンセントは、それ以上何も言わず去っていった。

 コールは派手にやりすぎたと、暫く無口になって席に着いた。


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