ピュアダーク
「サラ、これはどういうことだい」

「そんなの見た通りに決まってるでしょ。私が間に入ったことで急に苦しくなくなったのが全てを物語ってたでしょ」

「それって、ディムライトの君がホワイトライトを嫌ってるってことになるんだぜ」

「そうよ。おかしい?」

「どうして? ベアトリスのことを」

「だけどお陰で、あなたはベアトリスに近づけた。感謝して欲しいくらいだわ。何があったか知らないけど、あの大きな男の人の変な噂聞いた事があるわ。かなり暴れまくってるそうね。もしかして影でも仕込まれてるんじゃないの」

「いや、それはないと思う。ベアトリスにあれだけ近寄れて、触れることもできた。影が仕込まれていたらシールドではじかれてあんなことはできないはずだ」

「そう、ただの不良ってことね。だけどベアトリスも次から次へと巻き込まれるわね」

「それより、君のその……」

「憎しみ? 嫉妬? ネガティブな気持ち? なんでもいいけど、私はどうやら唯一事情を理解してあなたを助けることができる存在みたいね。そこで一つ提案があるんだけど、来月のプロムに私を誘ってみない?」

「えっ、君をかい? なぜ」

「まだわからないの。私が側にいれば、あなたはベアトリスに近づける。いいチャンスじゃないの」

「だけど、ベアトリスはプロムには参加しないはずだ」

「相手がいない…… そういいたいのね。甘いわ。彼女は必ずパトリックを誘うはずよ。それぐらい先が読めないの?」

「だけど、君は一体何を考えてるんだ」

「だからあなたとベアトリスの応援をしてるだけ。そうすれば私にも都合がよくなるから」

「まさか、君はパトリックのことを、だからそんな感情が」

「今さら気がついたの? そうよ。だからプロムの時にあなたを手伝う作戦があるの」

 サラは計画を洗いざらいに話した。

 ヴィンセントはその大胆な話に驚き、躊躇していた。

「そんなことしたら……」

「でも、そうでもしなければあなたはベアトリスに近づけない。それがチャンスだと思えば、やらない手はないんじゃないの?その後はあなたが全力で思うようにやり通せばいいだけ」

 ヴィンセントは暫くうつむき加減で黙り込んでいた。

 二人っきりになれるチャンスは滅多にない。

 二度のチャンスもうまく活かせなかった。

 そう思うとヴィンセントの欲望は強くなる。

 ヴィンセントが再びサラをみたとき、答えはもう出ていた。

「プロムデート(パートナー)是非頼む」

「ええ、喜んで」

 二人は同盟を結んだ。

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