ピュアダーク
「ちょっと、サラ、どういうつもりなの」

 我慢できずに聞いたのはレベッカだった。ソバカスが動くくらい興奮して口を激しく動かして喋っている。

「そうそう、皆に頼みたいことがあるんだけど、放課後パトリックがベアトリスを迎えにくると思うけど、ベアトリスとかち合わないように手伝って」

 責められてるのにも関わらず、サラは飄々と答えた。

「ちょっと待ってよ、サラ。あなたのやってることわかってるの」

 ケイトが切れて冷たい口調で話す。

「そうよ。ディムライトがダークライトに協力するなんて……」

 グレイスもおどおどしながら話した。

「だけどレベッカもケイトもヴィンセントに協力したじゃない」

 サラが指摘すると、二人は困ったように萎縮した。

「あれは、以前告げ口したから、それを許して貰うためにただ言付かった手紙をベアトリスに渡しただけよ」

 レベッカが言い訳するように言った。

「私達は罪を償う意味があったけど、サラの場合は全く違う。ベアトリスに敵意を抱いてそれを利用してダークライトを手助けするなんて言語道断」

 ケイトが反撃するように切り捨てた。

「判ってるわよ。でも少しだけ、少しだけ私の思うようにさせて。お願い」

 サラは責められても仕方がないと認めると、頭を下げるように下を向きながら懇願する。

 三人は理由を聞かなくても、パトリックのことでベアトリスに嫉妬を抱き、さらにベアトリスをパトリックから遠ざけヴィンセントとくっつけようとしてるくらい容易に推測できた。

 三人は呆れるが、何を言っても融通の聞かないサラには馬の耳に念仏だと諦め気味だった。

 軽くため息がそれぞれ洩れる。

 ただ巻き込まれたくないと、三人は顔を見合わせサラと距離を置く決断をした。

「協力するのは、今日一回だけ。放課後パトリックとベアトリスをかち合わないようするわ。でもその後は、もう何も手伝わないからね」

 代表してレベッカが言った。

 サラは頷くと『ありがとう』とだけ弱々しく答えた。
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