ピュアダーク
37 由来
深く考え事をしながらベアトリスは歩いているために、景色が目に映っていても視界に入ってこない。
心は、腹立たしさと満たされない思いで惨めになり、逃げずに立ち向かうと言った自分が情けない。
自分で自分の心を傷つけ、軽蔑することで、もっと傷口を深くしていった。
ダメな自分のイメージがまた膨らんでそれに飲み込まれては、自信喪失、自己嫌悪に陥る。
体に蓄積された重苦しい気持ちに我慢できず、目を一度強く瞑り、歯を食いしばった。
発狂しそうになる一歩手前まできたとき、ふと目を開けた目の前の風景がいつもと違うことに驚き、気持ちがヒューズのように飛んだ。
心が感情に囚われすぎてどこをどう歩いたのか全く覚えがない。
何年も毎日歩いてる場所だというのに、違う時空に迷い込んだように、町の風景が全く見覚えのないものに摩り替わっていた。
左右を見ても後ろを振り返ってみても、見慣れた道路や、建物、曲がり角すらなく、そこは突然緑に溢れる大地と大きな湖があるだけだった。
湖の向こうには古城が薄っすらとみえ、まるでおとぎの国に足を踏み入れたようだった。
「これ、どういうこと。私夢をみてるの?」
目をこすり、頬をピシャピシャと軽く叩いてもう一度見ても、その景色は変わらなかった。
「やあ、ようこそ」
その声のする方向に、ベアトリスは慌てて振り返った。
そこには透き通るような金色の長い髪をした男性が、民族衣装のような正装をして、威厳に満ちて立っていた。
ブラムだった。
声を出すことも忘れ、ベアトリスはただ驚いてそこに立ち尽くしていた。
ブラムは輝くほどの美しい笑顔でベアトリスに近づいた。
そして彼女の手を取ると、礼儀正しくそっとキスをした。
ベアトリスは驚きを通り過ごし、意識のない状態のように呆然とした。
「かなりいろんなことに巻き込まれて、そして振り回されているようだね、ベアトリス。まだ君は何も気がつかないのかい? それとも何かに気がついているけど、怖くて見て見ぬフリをしてるだけかい?」
「あなたは誰? なぜ私のことを知ってるの」
「私は君に一番近い存在。そして君の事はなんでも知っている。君が生まれたときからずっと見守っていたよ。そしてここは君が生まれたところ」
「えっ、私が生まれたところ?」
ベアトリスはもう一度辺りを見回した。
一度も見たことがない風景、そして自分の住んでる国にも見えなかった。
心は、腹立たしさと満たされない思いで惨めになり、逃げずに立ち向かうと言った自分が情けない。
自分で自分の心を傷つけ、軽蔑することで、もっと傷口を深くしていった。
ダメな自分のイメージがまた膨らんでそれに飲み込まれては、自信喪失、自己嫌悪に陥る。
体に蓄積された重苦しい気持ちに我慢できず、目を一度強く瞑り、歯を食いしばった。
発狂しそうになる一歩手前まできたとき、ふと目を開けた目の前の風景がいつもと違うことに驚き、気持ちがヒューズのように飛んだ。
心が感情に囚われすぎてどこをどう歩いたのか全く覚えがない。
何年も毎日歩いてる場所だというのに、違う時空に迷い込んだように、町の風景が全く見覚えのないものに摩り替わっていた。
左右を見ても後ろを振り返ってみても、見慣れた道路や、建物、曲がり角すらなく、そこは突然緑に溢れる大地と大きな湖があるだけだった。
湖の向こうには古城が薄っすらとみえ、まるでおとぎの国に足を踏み入れたようだった。
「これ、どういうこと。私夢をみてるの?」
目をこすり、頬をピシャピシャと軽く叩いてもう一度見ても、その景色は変わらなかった。
「やあ、ようこそ」
その声のする方向に、ベアトリスは慌てて振り返った。
そこには透き通るような金色の長い髪をした男性が、民族衣装のような正装をして、威厳に満ちて立っていた。
ブラムだった。
声を出すことも忘れ、ベアトリスはただ驚いてそこに立ち尽くしていた。
ブラムは輝くほどの美しい笑顔でベアトリスに近づいた。
そして彼女の手を取ると、礼儀正しくそっとキスをした。
ベアトリスは驚きを通り過ごし、意識のない状態のように呆然とした。
「かなりいろんなことに巻き込まれて、そして振り回されているようだね、ベアトリス。まだ君は何も気がつかないのかい? それとも何かに気がついているけど、怖くて見て見ぬフリをしてるだけかい?」
「あなたは誰? なぜ私のことを知ってるの」
「私は君に一番近い存在。そして君の事はなんでも知っている。君が生まれたときからずっと見守っていたよ。そしてここは君が生まれたところ」
「えっ、私が生まれたところ?」
ベアトリスはもう一度辺りを見回した。
一度も見たことがない風景、そして自分の住んでる国にも見えなかった。