ピュアダーク
リチャードが仕事だと言って向かった先は、安い酒場が集まる、治安の悪そうな地域だった。
見るからにドラッグの取引きをしそうな怪しげな男達や、コールガールらしき女たちが胸の谷間を強調した派手な格好をして、香水をプンプンと匂わせながら街角に立っていた。
まともな人間は近づかないだろうが、そこに足を踏み入れれば、誰れもがどこか怪しく見えるようだった。
賑やかなストリートを離れ、汚らしい人気のいない路地に向かってリチャードは歩いていた。
そして紫やピンクの光でサイキックと書かれたネオンのサインが飾られているドアを開けて入っていった。
神秘的な雰囲気を出そうとしているのだろうが、紙一重にただ変と言う言葉しか浮かんでこない。
どぎつい色の趣味の悪い安っぽい飾りが、占い部屋だと主張するように至るところに置かれていた。
その奥から魔女を思わせるような紫のロングドレスを纏った女性が振り向いた。
ちゃらちゃらとした派手なイヤリングが耳元で忙しく揺れてい る。
「いらっしゃい…… と思ったらまたあんたかい。ほんとしつこいね、リチャード」
「やあ、マーサ。その後コールから連絡は入ってないか」
マーサと呼ばれたその女性は、目の前の人物が鬱陶しいとばかりにストレートの長い黒髪を片手で強く払った。
浅黒い肌にグリーンの目が生えて、猫の目のようにリチャードを睨んでいる。
「あんな奴知らないよ。私は過去に騙されて捨てられた女だよ。そんなところに戻ってくると思う?」
「奴が頼れる相手は限られてるからな。それに君はコールに惚れていた」
「だから、庇って、かくまってるっていいたいの? アイツがこの町を出て行ってから一度も会ったことなんてないわよ。嘘だと思うのなら隅々までこの部屋探 したらどう」
「この部屋にはコールはいないのはわかる。居たら奴の気が残ってるはずだ。だが、連絡はしてくる可能性は消せない。それを聞きに来ただけだ。あいつとは関わるな。また悲しい思いをするぞ」
「へぇ、私のこと心配してくれてるの。それならあんたが私の相手をしてくれたらいいじゃないの」
マーサはリチャードの側により、顔に触れようとした。
そして後ろには水晶の玉を隠し持っている。
リチャードはすっと一歩下がった。
「おっと、水晶の玉を持って私に触れてどうする気だい。私の過去の記憶でも読み取ろうというのかい。君はダークライトとノンライトの間に生まれたが、普段はノンライトと変わらない。だがその水晶の玉を持ったときだけ、ダークライトの力を発揮することはわかってるんだ」
「やっぱり、リチャードね。全てがお見通し。だけど残念。あなたのような男の過去を知ってみたかったわ。あなたほどの実力とその美貌は何人もの女を泣かせてきたんじゃないの」
「好きに想像してくれ。どうもまだ奴はここには連絡してきてなさそうだ。また出直すよ」
リチャードは諦めて引き下がった。
マーサは機嫌を損ね、煙草とライターを手にすると苛立って客用に置いていたソファーにドカッと座り込んだ。
煙草を加えてライターをつけようとカチッと何度も親指を動かすが、なかなか火がつかない。
更にイライラを募らせてるときに、またドアが開いた。
見るからにドラッグの取引きをしそうな怪しげな男達や、コールガールらしき女たちが胸の谷間を強調した派手な格好をして、香水をプンプンと匂わせながら街角に立っていた。
まともな人間は近づかないだろうが、そこに足を踏み入れれば、誰れもがどこか怪しく見えるようだった。
賑やかなストリートを離れ、汚らしい人気のいない路地に向かってリチャードは歩いていた。
そして紫やピンクの光でサイキックと書かれたネオンのサインが飾られているドアを開けて入っていった。
神秘的な雰囲気を出そうとしているのだろうが、紙一重にただ変と言う言葉しか浮かんでこない。
どぎつい色の趣味の悪い安っぽい飾りが、占い部屋だと主張するように至るところに置かれていた。
その奥から魔女を思わせるような紫のロングドレスを纏った女性が振り向いた。
ちゃらちゃらとした派手なイヤリングが耳元で忙しく揺れてい る。
「いらっしゃい…… と思ったらまたあんたかい。ほんとしつこいね、リチャード」
「やあ、マーサ。その後コールから連絡は入ってないか」
マーサと呼ばれたその女性は、目の前の人物が鬱陶しいとばかりにストレートの長い黒髪を片手で強く払った。
浅黒い肌にグリーンの目が生えて、猫の目のようにリチャードを睨んでいる。
「あんな奴知らないよ。私は過去に騙されて捨てられた女だよ。そんなところに戻ってくると思う?」
「奴が頼れる相手は限られてるからな。それに君はコールに惚れていた」
「だから、庇って、かくまってるっていいたいの? アイツがこの町を出て行ってから一度も会ったことなんてないわよ。嘘だと思うのなら隅々までこの部屋探 したらどう」
「この部屋にはコールはいないのはわかる。居たら奴の気が残ってるはずだ。だが、連絡はしてくる可能性は消せない。それを聞きに来ただけだ。あいつとは関わるな。また悲しい思いをするぞ」
「へぇ、私のこと心配してくれてるの。それならあんたが私の相手をしてくれたらいいじゃないの」
マーサはリチャードの側により、顔に触れようとした。
そして後ろには水晶の玉を隠し持っている。
リチャードはすっと一歩下がった。
「おっと、水晶の玉を持って私に触れてどうする気だい。私の過去の記憶でも読み取ろうというのかい。君はダークライトとノンライトの間に生まれたが、普段はノンライトと変わらない。だがその水晶の玉を持ったときだけ、ダークライトの力を発揮することはわかってるんだ」
「やっぱり、リチャードね。全てがお見通し。だけど残念。あなたのような男の過去を知ってみたかったわ。あなたほどの実力とその美貌は何人もの女を泣かせてきたんじゃないの」
「好きに想像してくれ。どうもまだ奴はここには連絡してきてなさそうだ。また出直すよ」
リチャードは諦めて引き下がった。
マーサは機嫌を損ね、煙草とライターを手にすると苛立って客用に置いていたソファーにドカッと座り込んだ。
煙草を加えてライターをつけようとカチッと何度も親指を動かすが、なかなか火がつかない。
更にイライラを募らせてるときに、またドアが開いた。