ピュアダーク
「すまないけど、今日はもう店じまいだよ」
マーサがドアの方向を見ると、若い男がいやらしい笑みを浮かべて見下ろすように立っていた。
「ちょっと、あんたまだ高校生じゃないの。ガキが来るところじゃないんだよ。とっとと帰りな」
「相変わらず気が強い女だ。元気そうじゃないか、マーサ」
なれなれしく年下の男に名前を呼ばれて、マーサの怒りは頂点に達した。
すくっとソファーから立ち上がり、側によって、人差し指を立てて、忠告のポーズを取る。
「どこの誰だか知らないけど、年上に向かってその態度は失礼じゃない。しかもガキの癖に生意気な。早くママの所に戻ってミルクでも貰いな」
「リチャードがさっきまでここに来てたみたいだな。隠れて見てたよ。俺のこと探し回ってるんだろ」
「えっ、あんた、もしかしてコール? うそっ、いくらなんでもこんなに若返って別人になることはないでしょうに」
マーサはジロジロ見つめる。
しかしどうみてもコールに見えない。
コールはマーサの腕を掴むと自分に引き寄せ、有無を言わさず唇を重ねる。
激しい舌の動きでマーサの表情は一瞬で虜になった。
唇が離れたとき、マーサは驚きで目をぱちくりする。
「俺のキス、もう忘れたのか?」
「でも、顔が全く違う。だけどそのキスは確かにコール」
「仕方ねぇな、ほらこれをよく見ろ」
壁にかかってあった鏡の前に二人は立った。
それをみてマーサは息を飲んだ。
目の前にいるのはコールだった。
だが隣を見れば全く違う顔。益々困惑していた。
「コールなの? でも一体これはどういうこと?」
コールが説明するとマーサはやっと納得して力が抜けたようにソファーに座り込んだ。
その隣にコールも腰掛けて鼻でふっと笑った。
「そうだったの。その姿だったら誰もコールって気がつかないはずだわ。だけど、今さらのこのことここへやってこれたわね。私を捨てておいて」
「本気でそう思ってるのか。あの時はリチャードに追い出されて逃げてしまったが、お前には迷惑かけたくなかったから、俺が悪者になっただけだ。俺が裏切らなければ、お前も同罪として扱われて、リチャードに追い出されるところだったろ。俺が愛した女はお前だけさ」
「コール、ほんとなの? 信じていいの?」
「ああ、そうじゃなきゃまたここへ戻ってくるわけがないだろう」
マーサはコールに抱きついた。その反対側でコールの笑みが邪悪に光る。
「実は、ちょっと協力して欲しいことがあるんだ」
「いいよ、私ができることなら」
コールは事情を話すと、マーサは頼られて嬉しいとばかりに大きく頷いていた。
「じゃあ、頼むよ」
「だけど、いつまで高校生のままなの? また元に戻れるの?」
「ああ、もうすぐ戻るさ。その時、ホワイトライトの力を得てな」
コールは待ち遠しいとばかりに、鏡の前に立って自分の顔を見つめていた。
マーサがドアの方向を見ると、若い男がいやらしい笑みを浮かべて見下ろすように立っていた。
「ちょっと、あんたまだ高校生じゃないの。ガキが来るところじゃないんだよ。とっとと帰りな」
「相変わらず気が強い女だ。元気そうじゃないか、マーサ」
なれなれしく年下の男に名前を呼ばれて、マーサの怒りは頂点に達した。
すくっとソファーから立ち上がり、側によって、人差し指を立てて、忠告のポーズを取る。
「どこの誰だか知らないけど、年上に向かってその態度は失礼じゃない。しかもガキの癖に生意気な。早くママの所に戻ってミルクでも貰いな」
「リチャードがさっきまでここに来てたみたいだな。隠れて見てたよ。俺のこと探し回ってるんだろ」
「えっ、あんた、もしかしてコール? うそっ、いくらなんでもこんなに若返って別人になることはないでしょうに」
マーサはジロジロ見つめる。
しかしどうみてもコールに見えない。
コールはマーサの腕を掴むと自分に引き寄せ、有無を言わさず唇を重ねる。
激しい舌の動きでマーサの表情は一瞬で虜になった。
唇が離れたとき、マーサは驚きで目をぱちくりする。
「俺のキス、もう忘れたのか?」
「でも、顔が全く違う。だけどそのキスは確かにコール」
「仕方ねぇな、ほらこれをよく見ろ」
壁にかかってあった鏡の前に二人は立った。
それをみてマーサは息を飲んだ。
目の前にいるのはコールだった。
だが隣を見れば全く違う顔。益々困惑していた。
「コールなの? でも一体これはどういうこと?」
コールが説明するとマーサはやっと納得して力が抜けたようにソファーに座り込んだ。
その隣にコールも腰掛けて鼻でふっと笑った。
「そうだったの。その姿だったら誰もコールって気がつかないはずだわ。だけど、今さらのこのことここへやってこれたわね。私を捨てておいて」
「本気でそう思ってるのか。あの時はリチャードに追い出されて逃げてしまったが、お前には迷惑かけたくなかったから、俺が悪者になっただけだ。俺が裏切らなければ、お前も同罪として扱われて、リチャードに追い出されるところだったろ。俺が愛した女はお前だけさ」
「コール、ほんとなの? 信じていいの?」
「ああ、そうじゃなきゃまたここへ戻ってくるわけがないだろう」
マーサはコールに抱きついた。その反対側でコールの笑みが邪悪に光る。
「実は、ちょっと協力して欲しいことがあるんだ」
「いいよ、私ができることなら」
コールは事情を話すと、マーサは頼られて嬉しいとばかりに大きく頷いていた。
「じゃあ、頼むよ」
「だけど、いつまで高校生のままなの? また元に戻れるの?」
「ああ、もうすぐ戻るさ。その時、ホワイトライトの力を得てな」
コールは待ち遠しいとばかりに、鏡の前に立って自分の顔を見つめていた。