ピュアダーク
次の日の朝、パトリックがベアトリスをいつものように学校まで送り届け、そしてまた家に戻ろうとしてるときだった。
デバイスがアラーム音を発し、パトリックは緊張した。
デバイスを取り出し、ダークライトが近くに潜んでないか辺りを確認する。
先のストリートに車が一台停まっており、言い争ってる声が聞こえてきた。
運転席側のドアが開けられ、女性がずんぐりムックリの男に手を引っ張られて、引きずり出されている光景がパトリックの目に飛び込んでくる。
その男には見覚えがあった。ゴードンだった。
──あいつ、モールで赤毛の奴の隣にいた男だ。なんでこんなところにいるんだ。
その時、女性が悲鳴をあげると、パトリックはデバイスの蓋を開け片手で持った。
デバイスから光が浮き上がり、ダークライトを感知するとそれはナイフのようになった。
それをゴードンに向けて走り寄る。
デバイスから出る光はナイフや剣に形を変えるが、一般のノンライトからみればただの光にしか見えない。
だがダークライトや影には充分な殺傷能力がある武器であり、それを見せるだけでもかなりの効果がある代物だった。
ゴードンはデバイスを見せられ、暫くパトリックを睨んでいたが、諦めて目の前ですっと姿を消した。
その瞬間手を引っ張られていた女性はがくっと前屈みに倒れそうになり、パトリックは素早く抱え込んだ。
パトリックに寄り添いながらもその女性の片手には水晶球が握られていた。
マーサだった。
「大丈夫かい。怪我はないかい?」
「助けてくれてありがとう。でも、一体どうなったの。急にあいつ姿消しちゃったようにみえたけど」
「あっ、見かけによらず、すばしっこくて走って逃げていったみたいだね」
パトリックは必死に誤魔化した。
マーサはか弱い女性を演じる。
「ねぇ、ちょっとこのままでいい? 気が抜けてまだフラフラしちゃう」
パトリックは女性を支えたまま暫く立っていた。
その隙にマーサは目を閉じると、怪しく水晶がぼわっと光り出した。
パトリックの過去を読み取っていく。
「落ち着いたわ。ほんとにありがとう。なんかお礼しなくっちゃね。一緒にお茶でもどう?」
パトリックから離れ、後ろで手を組んだように水晶玉を隠していた。
「いえ、気を遣ってもらわなくても大丈夫です。でもどうして今の男に狙われてたんですか?」
「ああ、あいつ私の働いてる店にちょくちょくきては、口説きに来てたの。でも好みじゃないから突き放したら、逆切れでこの有様」
「あの男の他に赤毛の男も現れませんでした?」
「えっ、赤毛の男? いいえ、どうして?」
「いえ、いいんです。なんでもないんです」
パトリックが慌てて誤魔化しているその後ろを、ポールに扮したコールが歩いていった。
マーサを見て上手く言ったといわんばかりに笑って去っていく。
「とにかく、ありがとうね」
マーサは車に乗り込んだ。
バックミラーを覗けば、コールの本当の姿が映っていた。
パトリックに手を振ってマーサはその場から去っていった。
デバイスは反応を示さなくなったが、パトリックはまだ警戒しながら辺りを見回している。
──やっかいなものが来ちまった。まさかコールって言う奴も近くに潜んでいるんじゃないだろうか。
パトリックは心配になり、ベアトリスの学校に戻り、ダークライトの気配がないか確認した。
デバイスがアラームを鳴らすと、ヒヤッとしたが、目の前の人物を見て挑むように視線を突きつけた。
相手も負けじと受けて答える。
デバイスがアラーム音を発し、パトリックは緊張した。
デバイスを取り出し、ダークライトが近くに潜んでないか辺りを確認する。
先のストリートに車が一台停まっており、言い争ってる声が聞こえてきた。
運転席側のドアが開けられ、女性がずんぐりムックリの男に手を引っ張られて、引きずり出されている光景がパトリックの目に飛び込んでくる。
その男には見覚えがあった。ゴードンだった。
──あいつ、モールで赤毛の奴の隣にいた男だ。なんでこんなところにいるんだ。
その時、女性が悲鳴をあげると、パトリックはデバイスの蓋を開け片手で持った。
デバイスから光が浮き上がり、ダークライトを感知するとそれはナイフのようになった。
それをゴードンに向けて走り寄る。
デバイスから出る光はナイフや剣に形を変えるが、一般のノンライトからみればただの光にしか見えない。
だがダークライトや影には充分な殺傷能力がある武器であり、それを見せるだけでもかなりの効果がある代物だった。
ゴードンはデバイスを見せられ、暫くパトリックを睨んでいたが、諦めて目の前ですっと姿を消した。
その瞬間手を引っ張られていた女性はがくっと前屈みに倒れそうになり、パトリックは素早く抱え込んだ。
パトリックに寄り添いながらもその女性の片手には水晶球が握られていた。
マーサだった。
「大丈夫かい。怪我はないかい?」
「助けてくれてありがとう。でも、一体どうなったの。急にあいつ姿消しちゃったようにみえたけど」
「あっ、見かけによらず、すばしっこくて走って逃げていったみたいだね」
パトリックは必死に誤魔化した。
マーサはか弱い女性を演じる。
「ねぇ、ちょっとこのままでいい? 気が抜けてまだフラフラしちゃう」
パトリックは女性を支えたまま暫く立っていた。
その隙にマーサは目を閉じると、怪しく水晶がぼわっと光り出した。
パトリックの過去を読み取っていく。
「落ち着いたわ。ほんとにありがとう。なんかお礼しなくっちゃね。一緒にお茶でもどう?」
パトリックから離れ、後ろで手を組んだように水晶玉を隠していた。
「いえ、気を遣ってもらわなくても大丈夫です。でもどうして今の男に狙われてたんですか?」
「ああ、あいつ私の働いてる店にちょくちょくきては、口説きに来てたの。でも好みじゃないから突き放したら、逆切れでこの有様」
「あの男の他に赤毛の男も現れませんでした?」
「えっ、赤毛の男? いいえ、どうして?」
「いえ、いいんです。なんでもないんです」
パトリックが慌てて誤魔化しているその後ろを、ポールに扮したコールが歩いていった。
マーサを見て上手く言ったといわんばかりに笑って去っていく。
「とにかく、ありがとうね」
マーサは車に乗り込んだ。
バックミラーを覗けば、コールの本当の姿が映っていた。
パトリックに手を振ってマーサはその場から去っていった。
デバイスは反応を示さなくなったが、パトリックはまだ警戒しながら辺りを見回している。
──やっかいなものが来ちまった。まさかコールって言う奴も近くに潜んでいるんじゃないだろうか。
パトリックは心配になり、ベアトリスの学校に戻り、ダークライトの気配がないか確認した。
デバイスがアラームを鳴らすと、ヒヤッとしたが、目の前の人物を見て挑むように視線を突きつけた。
相手も負けじと受けて答える。