ピュアダーク
「何がおかしいの。あなたたちが勝手に作ったルールでベアトリスは命を脅かされてるのよ」

「仕方ない。それが我々のルールだから。彼女は気の毒だが運が悪すぎたとしか言えない。彼女は我々の世界では不吉の存在であり締め出され、この世界では、ダークライトの格好の餌食となり力を奪われれば我々を脅かす懸念となる。抹殺は苦肉の策。ホワイトライト界の秩序を保つには仕方がない。彼女がホワイトライトの力を目覚めさせなければ、10歳を過ぎれば自然と力は消滅し、普通の生活が約束されていた。そのギリギリでヴィンセントによって目覚めてしまった。何もかも奴のせい」

 アメリアは反論する言葉を失ってしまった。

 だが淡々と語るブラムに憤りを感じる。

「だから私達は必死でベアトリスを守りたいの。抹殺なんて絶対にさせない。あなただって、本当はそれを避けたいんでしょ。だからベアトリスのライフクリスタルを自ら奪えずに理由も言わず私に押し付け、卑怯な手を使った」

「卑怯な手か…… まさにその通りだ。私は卑怯ものさ。君の言う通りだ。命令されても私は、自ら、同士の命は奪えない。しかしこれも私の仕事でありどんな方法をとってもやり遂げねばならなかった。半分ホワイトライトでありながらそのことを良く知らない君の存在はあの時ありがたかったよ。結局は失敗してしまったがね」

「あなたってどこまでも冷血なのね。目的を達成させるためには手段を選ばない」

「そうさ、その通りさ。だが君は、こんな私の助けを求めた。君こそ目的のためには手段を選んでないじゃないか。みんなそうなんだよ。優先順位ってものがある。何かを犠牲にしてまで、何かをやり遂げたい。そういうものじゃないのかい」

「そうね。そうかもしれない。でもあなたはもう私達に加担したのと同じ、上のものにばれればあなたの地位も危うくなるんでしょ。あなたが自らの手で使命を果たせないのなら、私達と一緒にベアトリスを守るしかない。それがあなたの今の優先でしょ」

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