ピュアダーク
「今の子はフットボールの選手でもしてるのか。かなり体を鍛えてそうだが」

「あいつはこの間まで脂肪の塊だったんだが、ここ最近急激に痩せやがった。以前も話したけど、俺に絡んで来た奴ってあいつなんだ。体も痩せて中身も別人みたいになっちまいやがった」

「別人?」

 リチャードは何か引っかかったが、ダークライトの気は一切感じなかったと暫く後姿を見ていた。もう少し調べた方がいいかと思ったとき、ヴィンセントが話の腰を折った。

「なあ、親父。ダークライトの気も感じないし、やっぱりアメリアの見間違いだったんだよ。それより俺、腹減った。飯食いに連れてってくれ」

「仕方ないな」

 リチャードはすっきりしないまま、その場を離れた。

 その後二人はレストランへ向かう。

 そこでヴィンセントは自棄食いした。

 未成年なので酒が飲めないが、お変わり自由なストロベリーレモネードを何杯も飲んでいた。
 
 リチャードはまだまだ子供だと呆れてみている。

 しかしベアトリスのことで悩み、問題を抱えている息子が不憫でならなかった。

 ヴィンセントは黙々と食べる。プロムが最後のチャンスだとばかり、ベアトリスと二人っきりになることだけを考えていた。
< 319 / 405 >

この作品をシェア

pagetop