ピュアダーク
 彼のアイボリーのタキシードには見覚えがあった。

 そして自分がその時白いウエディングドレスを着ていたのを思い出す。

 ──どういうこと。あの時の夢のことヴィンセントが知ってるなんて考えられない。でもなぜ……
 ベアトリスが混乱しているとき、パトリックが意地悪い笑みを浮かべヴィンセントに向けた。

「サラ、紹介してくれないか、君のプロムデートを」

「ああ、この人はヴィンセントといって、ベアトリスのクラスメートよ。今回私がプロムに参加したくて無理に相手として私がお願いしたの。だって行きたい人と行けないから誰ともいかないとか言ってたのよ。勿体無いじゃない。だから、渋々って感じで無理に参加させちゃった」

 それを聞いてベアトリスは驚いてヴィンセントを見つめた。

 ヴィンセントはその通りだと頷いていた。

 パトリックは嫌な方向に流れる懸念を感じて、ベアトリスを自分の側に引っ張った。

 彼女は自分のものだとアピールしているつもりだった。

 ヴィンセントはパトリックといつものように暫く睨みあってる間に、サラはベアトリスに近づき女同士を強調してさっさと会場に足を向けた。

 大人しく先についてきたのはコールだった。

 慌てて、アンバーが駆け寄ると、ヴィンセントとパトリックもこんなことはしていられないと後を追いかけた。

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