ピュアダーク
その頃、リチャードはマーサの店のドアを叩いていた。
怪しげな色合いに光るネオンのサインの電源が入っていない。
ドアノブをガチャガチャするが中から何の応答もなかった。
気を研ぎ澄まし、辺りにダークライトの気配が残ってないか確かめ、うろうろしていたときだった。
近辺に住んでいる年寄りのおばあさんがお節介に声をかけ てきた。
「あんたマーサのいい人かい?」
「いえ、私はただの知り合いでして」
「どうでもいいけど、マーサは今若い男に夢中だよ。しかも高校生くらいのね。今日もデートなんじゃないかな。昼間も来ていたようだ」
「高校生?」
「ああ、最近頻繁に現れていたよ。私もね、あまりにも若い男の子だったからちょっと気になって観察してたんだけど、その子もマーサに恋をしてからなのか最初は太っていたのに、急に痩せ出して、かなり体が締まっていったよ。恋はマジックだね」
「痩せた? ばあさん、その高校生だけどどんな感じの子だ」
「そうだね、ちょっと人を小馬鹿に見るようなきつい目つきで、体が締まってからはフットボール選手みたいになってたね」
「まさか…… 」
リチャードは顔を青ざめた。
──あの遺体がザックだとしたら、コールはザックを使ってノンライトに成りすまし、ヴィンセントに近づいた。そしてザックは口封じに殺された。そう考 えればヴィンセントが言っていた絡んでくる奴がいると言う話の辻褄が合う。アイツはヴィンセントから情報を得ようとしてたんだ。あのときアメリアが言って いたコールの姿を見たときの話もバックミラーを通じてだった。なぜ気がつかなかったんだ。ザックが力のないダークライトだと思い込みすぎて見落としてい た。油断していた。なんてことだ。
自分の思っていることが正しければベアトリスが危ない。
慌ててプロムが開かれているホテルへとリチャードは足を向けた。
怪しげな色合いに光るネオンのサインの電源が入っていない。
ドアノブをガチャガチャするが中から何の応答もなかった。
気を研ぎ澄まし、辺りにダークライトの気配が残ってないか確かめ、うろうろしていたときだった。
近辺に住んでいる年寄りのおばあさんがお節介に声をかけ てきた。
「あんたマーサのいい人かい?」
「いえ、私はただの知り合いでして」
「どうでもいいけど、マーサは今若い男に夢中だよ。しかも高校生くらいのね。今日もデートなんじゃないかな。昼間も来ていたようだ」
「高校生?」
「ああ、最近頻繁に現れていたよ。私もね、あまりにも若い男の子だったからちょっと気になって観察してたんだけど、その子もマーサに恋をしてからなのか最初は太っていたのに、急に痩せ出して、かなり体が締まっていったよ。恋はマジックだね」
「痩せた? ばあさん、その高校生だけどどんな感じの子だ」
「そうだね、ちょっと人を小馬鹿に見るようなきつい目つきで、体が締まってからはフットボール選手みたいになってたね」
「まさか…… 」
リチャードは顔を青ざめた。
──あの遺体がザックだとしたら、コールはザックを使ってノンライトに成りすまし、ヴィンセントに近づいた。そしてザックは口封じに殺された。そう考 えればヴィンセントが言っていた絡んでくる奴がいると言う話の辻褄が合う。アイツはヴィンセントから情報を得ようとしてたんだ。あのときアメリアが言って いたコールの姿を見たときの話もバックミラーを通じてだった。なぜ気がつかなかったんだ。ザックが力のないダークライトだと思い込みすぎて見落としてい た。油断していた。なんてことだ。
自分の思っていることが正しければベアトリスが危ない。
慌ててプロムが開かれているホテルへとリチャードは足を向けた。