ピュアダーク
物音に驚きヴィンセントが振り返ると、そこにはパトリックが恐ろしい表情で立っている。
計画の失敗に髪が逆立ちそうなぐらい驚き、ヴィンセントは目を大きく見張っていた。
パトリックはベッドに横たわるベアトリスの側でヴィンセントが立っているのを見ると、腹の底から煮えくり返った怒りが噴出する。
「ヴィンセント、なんて卑怯な。見損なったぜ」
パトリックはヴィンセントに近づき、殴りかかろうとすると、ヴィンセントは素早く避け、パトリックの腕を掴んだ。
「くそっ! あっ、お前、ベアトリスのシールドを……」
ヴィンセントがベアトリスの側で平然としていることにパトリックがすぐに気がついた。
「ああ、解除したよ。こうするしか俺はベアトリスに近づけない」
「お前、何をやってるのかわかってるのか」
「ああ、判ってるさ。何もかも承知の上さ」
パトリックはもう片方の手で殴りかかろうとするがどちらもヴィンセントに掴まれ手の自由を失った。
「放せ」
「殴られるのはごめんだ」
二人が怒りをぶつけ言い争いに気をとられているとき、ベアトリスは目が覚めるが、暫く状況を把握できずにベッドでぼーっと横たわっていた。
──あれ、ヴィンセントとパトリック?
「卑怯なことをしておいて、何が殴られるのはごめんだ。やはりお前はダークライトだ。やり方が汚すぎる」
──ダークライト? どっかで聞いたことがある。
「ディムライトのお前だって卑怯なところがあるだろうが。お前の親がベアトリスの正体に気がついたとたん彼女の親に金と権力を見せびらかせてその地位を約束し、ベアトリスの意思も無視して親同士で勝手に婚約させちまいやがった。地位を手に入れるためなら手段を選ばない。そしてお前もホワイトライトの力が欲しかったんじゃないのか。だから親の言いなりになって婚約した」
──ディムライト? 私の正体? ホワイトライトの力が欲しくて婚約?
「違う、僕はお前があの夏現れる以前からずっとベアトリスのことが好きだった。お前があの夏僕たちの町にやってこなければ、ベアトリスはこんなことにならなかったんだ。全てはダークライトのお前のせいだ」
──あの夏、ヴィンセントが町にやってきた? どういうこと?
「全ては俺が引き起こしたことなのは認める。だが俺もベアトリスがホワイトライトだと気づく前から彼女のことを好きになっていた。ずっとずっとその気持ちを抱いて今に至る。だが、俺がダークライトのせいで、彼女に近づけなかった。不公平じゃないか。彼女のシールドを取り除かない限り、俺は近づくことも自分の気持ちも伝えられない。それなのに、お前はアメリアの弱みに付け込んで、ベアトリスとの結婚を認めさせた。そっちこそ卑怯じゃないか」
──二人は何を言ってるの。
「それは自分の都合だろ。そこまで僕に責任転嫁されても困るぜ」
「俺が近づけないことを良いように利用してそう仕向けただけだろ。俺がベアトリスと意識を共有したとき、彼女は俺を抱きしめてくれた。そして意識が戻ったとき一番に俺の名前を呼んだのをお前も聞いたはずだ」
「ヴィンセント、見苦しいぞ。それは過去のことだ。今は違う。今は彼女は僕を選んだんだ。それに、お前の父親がベアトリスの両親を殺したこと知ったらどうなると思う」
──ヴィンセントのお父さんが私の両親を殺した?
「違う。親父は誰も殺してなんかいない。あれは……」
ベアトリスはもう黙って聞いていられなくなった。
「止めて! 一体どういうことなの。何を話しているの。これが私の知ってはいけない真実なの?」
ベアトリスはベッドから体を起こした。
両親の死因を聞いてショックで放心状態になっていた。
「ベアトリス、聞いていたのか」
パトリックが、しまったと顔を歪めた。
ヴィンセントも掴んでいたパトリックの手を離し、自分の頭を抱える。
我を忘れて言い争ってベアトリスが起きていたことに気がつかなかったことを悔やんだ。
計画の失敗に髪が逆立ちそうなぐらい驚き、ヴィンセントは目を大きく見張っていた。
パトリックはベッドに横たわるベアトリスの側でヴィンセントが立っているのを見ると、腹の底から煮えくり返った怒りが噴出する。
「ヴィンセント、なんて卑怯な。見損なったぜ」
パトリックはヴィンセントに近づき、殴りかかろうとすると、ヴィンセントは素早く避け、パトリックの腕を掴んだ。
「くそっ! あっ、お前、ベアトリスのシールドを……」
ヴィンセントがベアトリスの側で平然としていることにパトリックがすぐに気がついた。
「ああ、解除したよ。こうするしか俺はベアトリスに近づけない」
「お前、何をやってるのかわかってるのか」
「ああ、判ってるさ。何もかも承知の上さ」
パトリックはもう片方の手で殴りかかろうとするがどちらもヴィンセントに掴まれ手の自由を失った。
「放せ」
「殴られるのはごめんだ」
二人が怒りをぶつけ言い争いに気をとられているとき、ベアトリスは目が覚めるが、暫く状況を把握できずにベッドでぼーっと横たわっていた。
──あれ、ヴィンセントとパトリック?
「卑怯なことをしておいて、何が殴られるのはごめんだ。やはりお前はダークライトだ。やり方が汚すぎる」
──ダークライト? どっかで聞いたことがある。
「ディムライトのお前だって卑怯なところがあるだろうが。お前の親がベアトリスの正体に気がついたとたん彼女の親に金と権力を見せびらかせてその地位を約束し、ベアトリスの意思も無視して親同士で勝手に婚約させちまいやがった。地位を手に入れるためなら手段を選ばない。そしてお前もホワイトライトの力が欲しかったんじゃないのか。だから親の言いなりになって婚約した」
──ディムライト? 私の正体? ホワイトライトの力が欲しくて婚約?
「違う、僕はお前があの夏現れる以前からずっとベアトリスのことが好きだった。お前があの夏僕たちの町にやってこなければ、ベアトリスはこんなことにならなかったんだ。全てはダークライトのお前のせいだ」
──あの夏、ヴィンセントが町にやってきた? どういうこと?
「全ては俺が引き起こしたことなのは認める。だが俺もベアトリスがホワイトライトだと気づく前から彼女のことを好きになっていた。ずっとずっとその気持ちを抱いて今に至る。だが、俺がダークライトのせいで、彼女に近づけなかった。不公平じゃないか。彼女のシールドを取り除かない限り、俺は近づくことも自分の気持ちも伝えられない。それなのに、お前はアメリアの弱みに付け込んで、ベアトリスとの結婚を認めさせた。そっちこそ卑怯じゃないか」
──二人は何を言ってるの。
「それは自分の都合だろ。そこまで僕に責任転嫁されても困るぜ」
「俺が近づけないことを良いように利用してそう仕向けただけだろ。俺がベアトリスと意識を共有したとき、彼女は俺を抱きしめてくれた。そして意識が戻ったとき一番に俺の名前を呼んだのをお前も聞いたはずだ」
「ヴィンセント、見苦しいぞ。それは過去のことだ。今は違う。今は彼女は僕を選んだんだ。それに、お前の父親がベアトリスの両親を殺したこと知ったらどうなると思う」
──ヴィンセントのお父さんが私の両親を殺した?
「違う。親父は誰も殺してなんかいない。あれは……」
ベアトリスはもう黙って聞いていられなくなった。
「止めて! 一体どういうことなの。何を話しているの。これが私の知ってはいけない真実なの?」
ベアトリスはベッドから体を起こした。
両親の死因を聞いてショックで放心状態になっていた。
「ベアトリス、聞いていたのか」
パトリックが、しまったと顔を歪めた。
ヴィンセントも掴んでいたパトリックの手を離し、自分の頭を抱える。
我を忘れて言い争ってベアトリスが起きていたことに気がつかなかったことを悔やんだ。