ピュアダーク
 ベアトリスは咄嗟にリチャードをも避けた。

 そしてさらに走り出す。

 そこに車が滑り込むように止まって助手席のドアが開いた。

「ベアトリス、さあ、乗れよ。送っていってやるよ。悩みのない場所にな」

 コールだった。

「だめだ、ベアトリスその男に近づいちゃいかん」

 リチャードがベアトリスを捕まえようとすると、ベアトリスはそれに恐れて、却ってコールの車に乗り込む選択しかなくなってしまった。

 ベアトリスは車に乗り込んでしまった。そしてドアが閉まり、車は猛スピードで走り去っていく。

「しまった」

 リチャードが慌てた。

 コールの車は後を追いかけられないくらいにあっという間に視界から消えていった。

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