ピュアダーク
「ベアトリス、やってくれるじゃないか。窮鼠猫を噛むってところか。しかし、俺には通用しないんだよ」

 素早い動きは、目にも止まらずにあっという間にベアトリスの目の前に現れた。

 コールは不気味な笑いを浮かべて、容赦なく手を振りかざしベアトリスの頬を殴り飛ばした。

 ベアトリスは跳ね返るように後ろに飛ばされ、床に倒れこむ。

「ちょっとコール、少しは手加減してやんなよ。女の子なんだよ」

 マーサは庇う割には面白がって笑っていた。

 ベアトリスの頬は赤く腫れ、口の中が切れて血が出ていた。

「なぜ、最後まで苦しもうとするんだ。抵抗しても無駄なことがわからないのか」

 コールはベアトリスと同じ目線にしゃがみこみ、彼女の顎を指で持ち上げお説教する。

「ほんとにお前は最後まで苛つかせてくれるよ。そんなに苦しみたかったら、お望みどおりにそうしてやる」

 コールはまたベアトリスの頬を叩く。

 ベアトリスはそれでも立ち向かおうとコールを睨みつけた。

 心の中は悔しさと怒りで爆発寸前だった。

 最後まで諦めるものかと必死に歯を食いしばった。

「まだ抵抗するのか。逃げてばかりのお前が最後に立ち向かうとは皮肉なもんだな。しかし無駄だけどな」

 コールの手が再び振りあがったときだった。

 突然ベアトリスから光が放たれた。

 その光に目をやられて、コールは一瞬怯んだ。

 ベアトリスは尽かさずドアに走りより、部屋を飛び出した。

「くそっ、あいつ、ホワイトライトの力を使いやがった」

 暫くコールの目が見えなくなった。

 ベアトリスはその間に部屋を飛び出し、出口求めて必死に玄関のドアめがけて走った。

 しかしドアを開けたときだった、目の前にコールが立っている。

 ベアトリスが驚く暇もないまま、突然首を掴まれそのまま強く押さえられた。

 徐々に後ろに追いやられて最後に力強く床に倒された。

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