ピュアダーク
「ヴィンセントは何をしているんだ。早く電話に出ろ」

 ヴィンセントが消えてから電話を掛けるが一向に繋がらない。

 パトリックは自分を見失うほど心を乱していた。

 電話をアメリアに渡すと、ゴードンの側に行き八つ当たりするように腹部に何度も蹴りを入れた。

「パトリック止めるんだ」

 リチャードが止めに入るが、パトリックはリチャードも振り払い怒り狂っていた。

「パトリック、落ち着きなさい」

 アメリアが叫んだ。

 パトリックはデバイスを取り出し、光の剣をゴードンの喉に向けた。

「さあ、言え、ベアトリスはどこにいる」

 ゴードンは震え上がった。口を開くどころか恐ろしさのあまり全ての機能が停止していた。

 パトリックは我慢ならずに剣を振りかざし、ゴードン目指して振り下ろしてしまった。

 ゴードンは頭を抱え込んで泣き叫ぶ。

 剣は確かに何かを切った手ごたえがあった。

 赤い血がぽたぽたと滴り落ちるのを見たとき、パトリックは正気に戻った。

 リチャードが自分の左腕を犠牲にしてゴードンを庇っていた。

「パトリック、私情の怒りでそのデバイスを使ってはいけない。それは自分の身やホワイトライトを守るための護身用だろ」

 パトリックはハッとした。その場でただ突っ立ってリチャードの傷口を青ざめて見ていた。

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