ピュアダーク
「リチャード、どうしてオイラを庇った」

 ゴードンが不思議そうにリチャードを見つめる。

「お前は根は素直な奴なのを知ってるからだ。ゴードン、もう誰にも利用されるな。ライフクリスタルを手にしても賢くなんてならないんだぞ。賢くなりたかったら、誰の言いなりにもならずに自分の意思で判断するだけでいいんだ。お前は決して馬鹿なんかじゃないんだぞ。そんな言葉に惑わされるな」

「オイラ、ライフクリスタルなくても賢くなれるの?」

「ああ、もちろんだ」

「リチャード、だったらオイラ言う。コールが居る場所。だから全てのこと許して欲しい」

「判った。お前は影に操られていただけだ。自分の意思でやったんじゃない」

 リチャードは遂にゴードンを説得し、居場所を聞き出した。

 しかしリチャードの傷口は思った以上に深く切り込まれていた。

 血がまだ止まらない。

 リチャードはネクタイを外し、自分の傷口を固く縛った。

 痛いのか、顔が少し歪んでいた。

 パトリックは罪悪感で胸が一杯になり、それに押しつぶされた表情で必死に頭を下げた。

「すみません。僕がいけないんです。あなたにそんな傷を負わせてしまって」

「大丈夫だ。私がこれくらいでやられると思うか」

 リチャードは余裕で笑顔を見せた。

「場所はわかったわ。とにかく急ぎましょう」

 アメリアは一刻も時間を無駄にできないとせかした。

「オイラ、一人ならそこへ瞬間移動で連れて行ける」

 ゴードンが提案する。

「それなら僕を連れて行ってくれ」

 パトリックが名乗りを上げた。

 リチャードもそうしてくれと目で知らせると、ゴードンは頷いてパトリックとすぐに消えていった。

「アメリア、私達も急ごう」

 二人も現場に向かった。


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