ピュアダーク
「やっとわかったかい。私はこの時を待っていた。エミリーに永遠の命を授けるためにね。ベアトリスのライフクリスタルを狙っていたのはこの私だ。私が全てのことを仕掛けた」
これにはそこで話を聞いていた全てのものが仰天した。
命が消えかけそうなコールですら、少しの命のともし火がある中で驚いていた。
「ブラム様! どういうことですか。あなたは最初からベアトリスのライフクリスタルを狙っていたっていうことは、はなっからベアトリスを救うことなどな かったということなんですか。それを承知で僕にこの二人を殺せと命令したなんて」
パトリックの心は悔しさと悲しみで絶望していた。
しかし怒りが強く心に現れると、ベアトリスを救おうとブラムに剣を向けていた。
「愚かもの! 私に逆らえばどうなるかわかっているんじゃなかったのか」
ブラムは容赦なくパトリックに光の矢を放つ。
「パトリック危ない!」
持てるだけの力を振り絞るようにヴィンセントは立ち上がり、必死で素早くパトリックの前に立ちはだかった。
野獣の固い腕に光の矢が刺さった。
「ヴィンセント、お前…… どうして僕なんかを庇うんだ。僕はお前を殺そうとしたんだぞ」
「ああ、二度もな。だが、お前はわざと急所を外した。本当は殺したくなかったのはわかっていたよ。どんなに俺のことを憎んでいてもな」
ヴィンセントは矢を引き抜きながら振り返りブラムを睨んだ。
「さあ、そのライフクリスタルを返してもらおう。それはベアトリスのものだ」
「そうは行かない。私はどれだけ絶望にひしがれていたと思う。どうしてもライフクリスタルが欲しかった。だが私はホワイトライトだ。仲間の命を奪えるわけがない。そんな時ベアトリスは私の願いを叶えるように生まれた」
「お前の願いを叶えるために生まれただと、どういうことだ」
「ホワイトライトは永遠の命を持つもの。自分達の世界では年を取らず、時間は永遠に止まったまま。そこでは子供も作れない。本当に子を望むものは地上に降りて子を授かるしか方法はない。そして子供がある程度大きくなればホワイトライトの力も宿り、いつでも自分達の世界に戻れたはずだった。だがベアトリスは違った。彼女の母親は出産直後に不幸にも命を落としてしまった。地上界ではホワイトライトといえども死が訪れてしまう。そしてホワイトライトは永遠の命をもつだけに母親の命を奪って生まれてきた子供を非常に嫌う。その子供はホワイトライトとしては認められずノンライトとしてここで暮らさねばならない。その時力は封印されるが、10年以内にホワイトライトの力が一度でも芽生えればライフクリスタルが体に成形され、もう二度と封印できなくなるということだ」
ヴィンセントはそんな理由があったと知って、自分が原因で引き起こしたことをまたここでも悔やんだ。
ブラムはさらに話を続けた。
「ダークライトに奪われればホワイトライト界が危うくなることから、力が宿ればベアトリスは抹殺されることが決まっていた。それが私には都合がよかったということだ。彼女の持つライフクリスタルを堂々と手に入れることができるからだ」
「それで何も知らない私にあの時ライフクリスタルを奪わせようとしたのね」
アメリアが口を挟んだ。
「そうだ。君は私から縁を切ることを条件に意味も知らずにこの仕事を引き受けた。だがもう少しというところでリチャードが邪魔をした。ベアトリスを守るため、ディムライトたちからも遠ざけるために、あのとき、ベアトリスの養父母たちが事故に遭ったように見せかけて、影を使って偽装した」
「そうだ、私は息子を救ってくれたベアトリスを守りたかった。ライフクリスタルを奪われないためにも私たちが守り通すとあの時あなたの目の前で誓ったはずだ。それなのにあなたは最初から奪うチャンスを狙っていたなんて…… いや、違う、狙っていたんじゃない。最初からそう仕向けていたんだ」
リチャードは突然はっとした。
これにはそこで話を聞いていた全てのものが仰天した。
命が消えかけそうなコールですら、少しの命のともし火がある中で驚いていた。
「ブラム様! どういうことですか。あなたは最初からベアトリスのライフクリスタルを狙っていたっていうことは、はなっからベアトリスを救うことなどな かったということなんですか。それを承知で僕にこの二人を殺せと命令したなんて」
パトリックの心は悔しさと悲しみで絶望していた。
しかし怒りが強く心に現れると、ベアトリスを救おうとブラムに剣を向けていた。
「愚かもの! 私に逆らえばどうなるかわかっているんじゃなかったのか」
ブラムは容赦なくパトリックに光の矢を放つ。
「パトリック危ない!」
持てるだけの力を振り絞るようにヴィンセントは立ち上がり、必死で素早くパトリックの前に立ちはだかった。
野獣の固い腕に光の矢が刺さった。
「ヴィンセント、お前…… どうして僕なんかを庇うんだ。僕はお前を殺そうとしたんだぞ」
「ああ、二度もな。だが、お前はわざと急所を外した。本当は殺したくなかったのはわかっていたよ。どんなに俺のことを憎んでいてもな」
ヴィンセントは矢を引き抜きながら振り返りブラムを睨んだ。
「さあ、そのライフクリスタルを返してもらおう。それはベアトリスのものだ」
「そうは行かない。私はどれだけ絶望にひしがれていたと思う。どうしてもライフクリスタルが欲しかった。だが私はホワイトライトだ。仲間の命を奪えるわけがない。そんな時ベアトリスは私の願いを叶えるように生まれた」
「お前の願いを叶えるために生まれただと、どういうことだ」
「ホワイトライトは永遠の命を持つもの。自分達の世界では年を取らず、時間は永遠に止まったまま。そこでは子供も作れない。本当に子を望むものは地上に降りて子を授かるしか方法はない。そして子供がある程度大きくなればホワイトライトの力も宿り、いつでも自分達の世界に戻れたはずだった。だがベアトリスは違った。彼女の母親は出産直後に不幸にも命を落としてしまった。地上界ではホワイトライトといえども死が訪れてしまう。そしてホワイトライトは永遠の命をもつだけに母親の命を奪って生まれてきた子供を非常に嫌う。その子供はホワイトライトとしては認められずノンライトとしてここで暮らさねばならない。その時力は封印されるが、10年以内にホワイトライトの力が一度でも芽生えればライフクリスタルが体に成形され、もう二度と封印できなくなるということだ」
ヴィンセントはそんな理由があったと知って、自分が原因で引き起こしたことをまたここでも悔やんだ。
ブラムはさらに話を続けた。
「ダークライトに奪われればホワイトライト界が危うくなることから、力が宿ればベアトリスは抹殺されることが決まっていた。それが私には都合がよかったということだ。彼女の持つライフクリスタルを堂々と手に入れることができるからだ」
「それで何も知らない私にあの時ライフクリスタルを奪わせようとしたのね」
アメリアが口を挟んだ。
「そうだ。君は私から縁を切ることを条件に意味も知らずにこの仕事を引き受けた。だがもう少しというところでリチャードが邪魔をした。ベアトリスを守るため、ディムライトたちからも遠ざけるために、あのとき、ベアトリスの養父母たちが事故に遭ったように見せかけて、影を使って偽装した」
「そうだ、私は息子を救ってくれたベアトリスを守りたかった。ライフクリスタルを奪われないためにも私たちが守り通すとあの時あなたの目の前で誓ったはずだ。それなのにあなたは最初から奪うチャンスを狙っていたなんて…… いや、違う、狙っていたんじゃない。最初からそう仕向けていたんだ」
リチャードは突然はっとした。