ピュアダーク
 アメリアはブラムに抱きつき懇願した。

「ダディ、こんなことしてもママは喜ばない。お願い、やめて」

「アメリア」

「ママは私に謝っていた。ダディを私から遠ざけたことは全て自分の責任だって。ママもダディを愛していたから、どうしてもダディを守りたかったの。自らを犠牲にしても」

「どういうことだ」

「ダディはいつも傷だらけになっていた。地上ではダークライトに命を狙われてたからいつも襲われた。ダディが強いのはわかっていたわ。その傷もすぐに治せることも。だけどママはそれを毎回見るのが耐えられなかった。そこまで危険を冒して自分と過ごす意味があるのかママは悩んでいた。いつかダディがやられるんじゃないかって思うとママは心配で夜も寝られなかったの。ママはノンライトだったけど、ダディの世界のことを一生懸命理解しようとしていた。そんなときママはダークライトに襲われたの。ダークライトがママを利用してダディの命を狙おうと企んでいた。でもそのときは運良くディムライトの助けもあって逃げることができたけど、この先も同じことが起こったり、今度は私にも危険がふりかかるかもしれないと、ダディを追い詰めると思って我慢できなくなった。その時自分が不治の病に侵されていることを知って、それで別れる決心が固まったの。ダディを解放するためにわざと愛想をつかしたフリをしたのよ。そして私を里子にやって身を隠させ、自分もまたダークライトに利用されないようにと自ら命を絶った」

 ライフクリスタルを持つブラムの手が震えていた。

 アメリアはブラムに抱きついた。

 今度は自分の心情を語り出す。

「ダディ、私は自分の気持ちに嘘をついていた。ダディはいつも優しくてかっこよくて私の憧れの存在だった。私には自慢のダディ。でもホワイトライトの力を知ってそれが憎らしかった。私が子供の頃、興味本位で黙ってダディのライトソルーションを飲んでしまってから私の体のメカニズムが変わってしまった。ダディにとても怒られたのを覚えているわ。ダディに怒られたのはあれが初めてだった。ダディは地上界で私にホワイトライトの苦しみを与えたくなかったんでしょ。私もホワイトライトの世界へいけない身分だったから。でもあの水を飲んだあとは遅かった。中途半端な力を得てしまい、私は一生あの水を飲まないとここで生きていけない体になってしまった」

 全ての者はアメリアの話を静かに聞いていた。

 アメリアが自分に厳しく誰にも容赦しない態度を取る理由がわかるようだった。

 彼女の心の痛みが見えてくる。

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