ピュアダーク
「それからよ、私はホワイトライトの力を恨んだ。ママや私をダディから遠ざけ、苦しみしか与えなかった。何が人々を幸せに導く力よ。私達を却って不幸にしただけ。そしてそれに関わるディムライトですら憎らしかった。自分の利益のために、力に支配されその通りに動き、私に媚を売る人々が鬱陶しかった」

 アメリアが目に涙を溜めながらブラムを見つめる。

「私は怒りの矛先をダディに向けてしまった。本当は大好きでたまらないのに、全てはダディのせいだって、ダディに素直に向き合うことができなくなった。そんな時またダディは私に接触をしてきた。その時、この計画を思いついたのね。だけど久々に会ったダディの昔と全く変わらない姿に私はショックを受けた。私はダディの年に近づき、そしていつかはダディよりさらに年を取ると気がついたから。益々ホワイトライトを恨んだわ。自分の父親より年を取るのが惨めだった」

「アメリア、すまない。どんなに償おうとしても君には償いきれない」

「いいえ、できるわ。ベアトリスのライフクリスタルを返して。もうこれ以上ダディを憎ませないで」

「アメリア、許してくれ。私にはエミリーが必要なんだ。エミリーがいない世界は私には耐えられない。彼女は初めて私の心を満たしてくれた存在。いい加減といわれるこの私を優しく包み込んで全てを受け入れてくれた」

 ──全てを受け入れてくれた……

 ブラムの言葉をヴィンセントは感慨深くじっと聞き入っていた。

 自分のベアトリスを想う気持ちと全く同じだった。

「だからといって、他のものを犠牲にしてその上でママが幸せになるとは限らない。苦しみしか残らないはずよ。お願いダディ、目を覚まして。ベアトリスが死んでしまったら、ダディと全く同じ気持ちを持つ者がいるのよ」

 ブラムははっとした。

 自分と同じ気持ちを持つ者。

 ヴィンセントに無意識に目がいった。

 暫く睨み合いが続き、ブラムはキッと口を一文字に結んで 何かを決意した。

< 383 / 405 >

この作品をシェア

pagetop