ピュアダーク
「ならば、ヴィンセント、私と勝負をしろ。お前が勝てばこれはベアトリスに返してやろうじゃないか。しかし私が負けるとは思わないが」

 ブラムは蔑んだようにヴィンセントを睨みつけ勝負を叩きつけた。

「いいだろう。その勝負受けて立つ」

「いいか、これは真剣勝負だ。命を賭けてかかって来い。私を殺すつもりでな。私も容赦はしない」

「やめてダディ、それではなんの解決にもならない。ヴィンセントもそんな挑発に乗っちゃだめ。そんな傷を負って無茶だわ」

 ブラムはライフクリスタルを高く放り上げると、それはどちらかの勝利を見守るように宙に浮かんだ。

 ベアトリスは必死で消え行く自分を保とうとしていた。

 弱々しく力が抜けていくのを耐えながら全ての話に耳を傾けていた。
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