ピュアダーク
 ベアトリスとヴィンセントが再び皆の前に現れたとき、辺りはお祭り騒ぎになった。

 全ての経緯を話すとそれはもっとエスカレートして誰もが我を忘れて喜び合う。

 ヴィンセントは父親と向き合った。

「親父は正しかったよ。俺たちダークライトは変われる。俺たちが変えていけるんだ」

「ああ、そうだな」

「それなら俺も協力するぜ。それが罪を償う行為の一つだろ」

 コールが加わった。

「なんかわからないけど、オイラも参加する」

 ゴードンは嬉しそうにコールの側で飛び跳ねていた。

「ベアトリス、やっぱり君はすごいよ。人々の心を良い方向へ変えていく」

 パトリックが言った。

「ううん、みんなが私を導いてくれたの。私一人では何もできなかった。みんなのお陰だわ」

 ベアトリスはパトリックを抱きしめた。

「特にパトリック、本当にありがとう。一杯迷惑かけてごめんね」

「何を言うんだい。君は何も迷惑なんてかけてない。そりゃ、君と結婚できなくてちょっと残念だけど、僕はヴィンセントに敵わないや。少し妬けるけど、既にヴィンセントを二回殺そうとして刺しちゃったし、それで仕返しできたよ」

「馬鹿! 冗談としても全然面白くもなんともない。刺された身にもなってみろ」

 ヴィンセントが聞き捨てならない言葉に憤慨した。

 そしていつまでも抱合うなとベアトリスを引き戻す。

「ヴィンセント、ベアトリスを幸せにしろよな。じゃないと僕が許さないから。その時はまた刺してやる」

「いい加減にしろ。だが、お前に言われなくてもそうするつもりだ」

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