ピュアダーク
 ジェニファーとヴィンセント。

 申し分ない容姿の二人だった。

 だから二人が一緒にいれば、誰もが認める美男美女のカップルと思われる。

 一緒にいるベアトリスでさえも二人がお似合いだと認めていた。
 

 ジェニファーの一番の友達ということでベアトリスもヴィンセント と一緒に行動する。

 それは恩恵であり、ベアトリスもこのゴージャスな友達と一緒に居られることに満足感がコンプレックスを上回っていた。

 だが、ぽっちゃりでおしゃれ気もなく冴えない風貌のベアトリスが、どうして二人と友達でいられるのか周りは常に不思議がっていた。

 影では引き立て役とからかわれ、または羨ましさから妬む者も出れば、グループに交わろうとベアトリスに媚を売るものまでいた。

 ベアトリス自身、身の程知らずと自覚しているが、二人はベアトリスから離れない。

 全てはジェニファーがベアトリスの世話をやいて優しく接していた。

 ベアトリスもジェニファーを大切にして、そして大親友のジェニファーとヴィンセントの仲を微笑んで見守る。

 ジェニファーの側にいればもれなくヴィンセントがくっ付いてくるために、ベアトリスも話す機会に恵まれていた。

 たまにヴィンセントと話をするが、その時ベアトリスの頬は赤くなる。

 ヴィンセントに好意を抱いているのが傍から見てもバレバレだった。

 だが彼にはジェニファーがいる。

 ましてや自分の大親友だ。

 ジェニファーのお蔭でこの関係が成り立っているのは十分承知だった。

 友達として側に居られるだけで有難く、話せるだけで満足し、高校生時代の恋に恋して、楽しい片思いだ自覚していた。

 ただの憧れに過ぎない。

 友達というだけで嬉しい存在。

 つまり、最初っからどうしようとも思ってなかったのである。

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