ピュアダーク
「こっちに来ないで! そのままで聞いて欲しい」
「ヴィンセント、もういいの。何も話すことなんてない。ジェニファーと喧嘩になって本当にごめんなさい」
弱々しく、涙声になっていた。
「違うんだ! お願いだ、聞いて欲しい」
息が荒くなり、時折、うめき声が入っていた。
「ヴィンセントどうかしたの? なんだか苦しそう」
「ああ、苦しいよ、心も体も。ベアトリス頼む、ジェニファーの側に行くんだ」
「何を言うの、そんなことできる訳がない。ジェニファーは私を怒ってる。許してくれないわ。あなたが苦しいのはジェニファーと私が絶交してしまったから、また負い目を感じてるの? 私はもうあなた達と一緒にいてはいけないってわかった。ヴィンセント本当にごめんね。私なんかのせいで迷惑かけちゃって。もうこれ以上私と関わらない方がいい。だから私の側に二度と近寄らないで」
ベアトリスの胸が張り裂け、涙がポロポロと零れ落ちる。
それ以上にヴィンセントは、ずたずたに引き裂かれる思いだった。
一層のこと、そうなってしまえと、力が入り自分のシャツを胸元あたりから引っ掻いた。
服は鋭利な刃物で切られた跡を残し、自分の胸からも血で数本の直線を描いたように傷を刻んだ。
暫くして静寂さが漂ようと、ベアトリスは恐る恐るドアを開けた。
ヴィンセントがそこに居ないことを確認する。
悲しさと自分の侵した罪に酷く打ちひしがれ首をなだれた。
ふと足元見れば廊下に服の切れ端が落ちていた。
ベアトリスはそれを拾い、じっと見つめる。
「ヴィンセントの服? でもなぜ……」
この日着ていたヴィンセントのシャツの色合いに似ていた。
ベアトリスはギュッとそれを握り締めた。
自分が羽目を外さなければ、この先ずっと三人で楽しく高校生活を送るところだったのにと思うと、悔やまれてならない。
だがもっと声に出して叫びたいことがあった。
こんな状況になっても、どうしてもヴィンセントが好き。
想いはもう抑えきれなかった。胸焦がれて息が苦しくなる。目が熱く、大粒の涙が溢れてくる。大泣きに泣いて咳き込み、内からも外からも苦しみに襲われるようだった。
その時足元が揺らいだ。
力が抜けたのではなく、この建物が一瞬揺れた。
「えっ、地震?」
「ヴィンセント、もういいの。何も話すことなんてない。ジェニファーと喧嘩になって本当にごめんなさい」
弱々しく、涙声になっていた。
「違うんだ! お願いだ、聞いて欲しい」
息が荒くなり、時折、うめき声が入っていた。
「ヴィンセントどうかしたの? なんだか苦しそう」
「ああ、苦しいよ、心も体も。ベアトリス頼む、ジェニファーの側に行くんだ」
「何を言うの、そんなことできる訳がない。ジェニファーは私を怒ってる。許してくれないわ。あなたが苦しいのはジェニファーと私が絶交してしまったから、また負い目を感じてるの? 私はもうあなた達と一緒にいてはいけないってわかった。ヴィンセント本当にごめんね。私なんかのせいで迷惑かけちゃって。もうこれ以上私と関わらない方がいい。だから私の側に二度と近寄らないで」
ベアトリスの胸が張り裂け、涙がポロポロと零れ落ちる。
それ以上にヴィンセントは、ずたずたに引き裂かれる思いだった。
一層のこと、そうなってしまえと、力が入り自分のシャツを胸元あたりから引っ掻いた。
服は鋭利な刃物で切られた跡を残し、自分の胸からも血で数本の直線を描いたように傷を刻んだ。
暫くして静寂さが漂ようと、ベアトリスは恐る恐るドアを開けた。
ヴィンセントがそこに居ないことを確認する。
悲しさと自分の侵した罪に酷く打ちひしがれ首をなだれた。
ふと足元見れば廊下に服の切れ端が落ちていた。
ベアトリスはそれを拾い、じっと見つめる。
「ヴィンセントの服? でもなぜ……」
この日着ていたヴィンセントのシャツの色合いに似ていた。
ベアトリスはギュッとそれを握り締めた。
自分が羽目を外さなければ、この先ずっと三人で楽しく高校生活を送るところだったのにと思うと、悔やまれてならない。
だがもっと声に出して叫びたいことがあった。
こんな状況になっても、どうしてもヴィンセントが好き。
想いはもう抑えきれなかった。胸焦がれて息が苦しくなる。目が熱く、大粒の涙が溢れてくる。大泣きに泣いて咳き込み、内からも外からも苦しみに襲われるようだった。
その時足元が揺らいだ。
力が抜けたのではなく、この建物が一瞬揺れた。
「えっ、地震?」