ピュアダーク
 『ゴォー」という地響きが突然不気味に唸りだした。

 ベアトリスは恐怖から血の気が引いていく。

 そして学校中にいるだけの人の叫び声が何十、いや何百と重なり、それは学校全体を悲鳴の渦に落としいれてゆく。

「何、この叫び? 何が起こってるの?」

 ベアトリスは、教室に戻ろうと慌てて走り出す。

 授業が行われてる教室が並ぶ廊下にさし当たると、辺りからはパニックに陥った人々の悲痛な叫びとすすり泣きが各部屋から聞こえてきた。

 各ドアが開き、生徒は慌てて廊下に出てくる。

 その中には頭から血を流した生徒が、抱えられて出て来る姿もあった。

 ガラスが刺さっている。

 異様な光景に寒気と震えがした。

 他の教室からも次々と負傷した生徒達が飛び出してきた。

 廊下はあっという間に恐怖とパニックがもたらす凄惨なむごたらしさを醸し出し、そこはもはや戦場だった。

 教師達は落ち着けとばかりに走り回るが、この非常事態に一体何をすればよいのか把握できずにいる。

 ベアトリスは教室を覗き込んだ。そこは爆発を起こしたように全ての窓が割られ、机や椅子が倒され、教室が無茶苦茶に荒らされていた。

 窓際に座っていたものが一番被害が大きく、それで血を流したものが何人も続出した。

 女生徒達は抱き合って泣きじゃくっている。

「一体何が起こったというの?」

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