ピュアダーク
「これほどの力を持つホワイトライトがなぜ地上界に自分の身分を知らされず生活しているのだろう。ホワイトライトは普通地上界に長居はしないもの。地上界に居れば私達と同じ命の長さになる。ホワイトライトは永遠の命を持つものなのに。ベアトリス一体あなたの目的は何?」

 ベアトリス自身、何も知らされていないのはわかっていたが、はっきりしない存在が驚異的にも見え、そしてサラの心に否定的なものが芽生えていく。

「あっ、サラだ」

 ベアトリスが大きく手を振った。

 三人も一緒になって手を振りだした。

 学校がダメージを受け暗い気持ちになってるものが多い中、あそこだけは光に満ちて明るい。

 サラはベアトリスをじっとみる。

 ほんの少しだけ一緒に過ごしたとはいえ、サラの目には、頼りなく、自信喪失で自分のイメージとはかけ離れてたベアトリスの姿が映っていた。

 おっとりとしすぎてイライラする。

 パトリックの婚約者、そしてホワイトライトということで素敵な女性像を描き、想像だけで憧れを抱きすぎていた。 

 それ故に失望感が大きく、この時全てのものが崩れていった。

「あの笑顔、あの包容力、そして何より心を癒す力の持ち主。見かけは全く冴えないのに。レベッカも、ケイトも、人見知りの激しいグレイスですら、しっかりと取り込まれてしまった。ダークライトのヴィンセントすら夢中にさせる。長く会ってないとはいえ、パトリックももしここに現れてベアトリスを見たらその時はきっと同じように…… そんなの絶対嫌!私は認めない。ベアトリスなんか認められない」

 心の中で叫んでいた。

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