こじらせ参上-重いですけど何か?-
〇、連絡
「ごめん返事忘れてた。てか俺のこと覚えてる?笑」
突然光ったスマホの画面を見て、自分の目を疑った。確かにそこには差出人に「ゆうすけくん」という六文字が連なったメッセージが受信されていたのである。
「え?」
思わず口を伝って出てきた言葉に一緒にいた友人が振り返る。
「どうしたの?」
「いや、音信不通だった後輩から二年ぶりに連絡がきた。」
絶妙に話を盛ってしまった。正確には二ヶ月。二ヶ月前「ゆうすけくん」からの連絡は突然途絶えたのだった。
「ゆうすけくん」とは一月に知り合った。そこから連絡をとること一ヶ月、私は文字通り一年ぶりに男の人にご飯に誘われた。そのようなつもりはなかったとは言いきれないけれど、あまり期待はせずに彼のお誘いに応じ、夕食を共にした。予想外の楽しさに私は喜びを隠しきれず、ほとんどなかったはずの期待は大きく膨れ上がった…ところで彼からの連絡は突然途絶えたのであった。何が原因で連絡してくれなくなったのかわからなかった私はしばらくモヤモヤしていたものの、もう割り切りたかったので、これが最後と思い、感謝と何か気に障ったのなら申し訳なかったという謝罪、そして別れを含んだ内容のメッセージを送り、忘れることにした。とはいえ、予想を遥かに超えて楽しかったその夕食の席で話した内容は否が応でも忘れられない。彼が好きと言っていた映画、俳優、アーティスト、曲…今まで気に留めていなかっただけなのか、その夜話題に上がったものがやたらと目につくようになった。「忘れることにした」のはいいが、忘れられなかったのが現実なわけで…
改めて受信したメッセージを確認する。なんと返そうか悩む間もなく私は返事をうっていた。
「覚えてるけど笑」
二ヶ月返事を忘れていたなんて阿保みたいなことを信じられるわけがない。それを信じられるほど私も幸せ者でもない。だが、「ゆうすけくん」の六文字に心が躍ったのもまた事実で、他にも考えられたであろう言い訳がある中で、「返事を忘れていた」とあくまで自分の返事の遅さを正当化するものを選んだ彼のセンスにどこかおかしささえ覚えた。
返事はすぐに来た。
「おーないす。また機会があったら飲みに行こうよ。」
さすがに拍子抜けした。二ヶ月音信不通だった男がする女性への誘い方とは思えない。
「本気で言ってるの?」
自分自身の返事にも拍子抜けする。
「社交辞令と思ってくれても構わない」
あまのじゃくな私が返す内容は決まっていた。そうして私達は再会した。
いや、その話の前に話しておくべきことがある。まず二ヶ月前、彼に誘われ、会うと決めた日以前に急遽会うことになった。偶然お互いに空いている日が他にあったのである。だけどそれは所謂ドタキャンをされた(向こうのスケジュール把握ミス)。会う気がないのかと思ったが、その後予定通り会い、そうして連絡が途絶えた。こんな変な関わり方をしてくる彼を、内輪では宇宙人と呼んでいた。
そんな宇宙人から改めて連絡が来て、会うことになったわけである。だが、さすが宇宙人というべきか、そう簡単に会えたわけではない。こちらの期待にもはや応えてきたとさえ言えるが、彼は約束の時間になっても連絡もせず、待ち合わせ場所にも現れなかった。さすがに腹立たしくなり、会う気がないなら会う必要はないことを伝えたが、彼はあくまで会いたいと言ってきた。そんな紆余曲折を経て私達は再会したのであった。
突然光ったスマホの画面を見て、自分の目を疑った。確かにそこには差出人に「ゆうすけくん」という六文字が連なったメッセージが受信されていたのである。
「え?」
思わず口を伝って出てきた言葉に一緒にいた友人が振り返る。
「どうしたの?」
「いや、音信不通だった後輩から二年ぶりに連絡がきた。」
絶妙に話を盛ってしまった。正確には二ヶ月。二ヶ月前「ゆうすけくん」からの連絡は突然途絶えたのだった。
「ゆうすけくん」とは一月に知り合った。そこから連絡をとること一ヶ月、私は文字通り一年ぶりに男の人にご飯に誘われた。そのようなつもりはなかったとは言いきれないけれど、あまり期待はせずに彼のお誘いに応じ、夕食を共にした。予想外の楽しさに私は喜びを隠しきれず、ほとんどなかったはずの期待は大きく膨れ上がった…ところで彼からの連絡は突然途絶えたのであった。何が原因で連絡してくれなくなったのかわからなかった私はしばらくモヤモヤしていたものの、もう割り切りたかったので、これが最後と思い、感謝と何か気に障ったのなら申し訳なかったという謝罪、そして別れを含んだ内容のメッセージを送り、忘れることにした。とはいえ、予想を遥かに超えて楽しかったその夕食の席で話した内容は否が応でも忘れられない。彼が好きと言っていた映画、俳優、アーティスト、曲…今まで気に留めていなかっただけなのか、その夜話題に上がったものがやたらと目につくようになった。「忘れることにした」のはいいが、忘れられなかったのが現実なわけで…
改めて受信したメッセージを確認する。なんと返そうか悩む間もなく私は返事をうっていた。
「覚えてるけど笑」
二ヶ月返事を忘れていたなんて阿保みたいなことを信じられるわけがない。それを信じられるほど私も幸せ者でもない。だが、「ゆうすけくん」の六文字に心が躍ったのもまた事実で、他にも考えられたであろう言い訳がある中で、「返事を忘れていた」とあくまで自分の返事の遅さを正当化するものを選んだ彼のセンスにどこかおかしささえ覚えた。
返事はすぐに来た。
「おーないす。また機会があったら飲みに行こうよ。」
さすがに拍子抜けした。二ヶ月音信不通だった男がする女性への誘い方とは思えない。
「本気で言ってるの?」
自分自身の返事にも拍子抜けする。
「社交辞令と思ってくれても構わない」
あまのじゃくな私が返す内容は決まっていた。そうして私達は再会した。
いや、その話の前に話しておくべきことがある。まず二ヶ月前、彼に誘われ、会うと決めた日以前に急遽会うことになった。偶然お互いに空いている日が他にあったのである。だけどそれは所謂ドタキャンをされた(向こうのスケジュール把握ミス)。会う気がないのかと思ったが、その後予定通り会い、そうして連絡が途絶えた。こんな変な関わり方をしてくる彼を、内輪では宇宙人と呼んでいた。
そんな宇宙人から改めて連絡が来て、会うことになったわけである。だが、さすが宇宙人というべきか、そう簡単に会えたわけではない。こちらの期待にもはや応えてきたとさえ言えるが、彼は約束の時間になっても連絡もせず、待ち合わせ場所にも現れなかった。さすがに腹立たしくなり、会う気がないなら会う必要はないことを伝えたが、彼はあくまで会いたいと言ってきた。そんな紆余曲折を経て私達は再会したのであった。