キミにコイしてた。
あたしにとって夢のひとときだった。




それからちょくちょく

友だちと体育館や校庭でサッカー部の練習を見るようになってた。


あたしにとっては遠い存在だった先輩が

徐々に近くなっていく。

今日も校庭にくりだし

練習を見ていた。

「ちょっとトイレ行ってくるね。」

友だちが校内に戻っていった


ひとりで先輩の練習を見てた。


ちょうどサッカーの練習も休憩タイム。


立って見ているあたしに 近づく影。



もしかしてって思った―


「いつも来てるよね。
ここに座って見たら。」

練習をより近くで見れるベンチに先輩が指をさして誘ってくれた。



「いいんですか????」


完全に緊張と動揺で
言葉がたどたどしくなる。



「いいよいいよ。立って見てたら疲れない??」


そう言って先輩はベンチに座った。


(あたし 先輩のとなりに座っていいの??)


自問自答してた。


「じゃぁ…座りま~す…。」


ダメだ!!

完全にあたし緊張してる

ベンチに座るまでの時間が長く感じた。


「キミさ こないだ頭にボールぶつかった人だょね??」


(えっ!?覚えてくれてるの?)


「あっ…はい!そうです…そのときのキミです…。」

あっ ばか!
緊張のあまり自分のことをキミだなんて言ってしまった…。


「ぁはは。キミ名前は??」

名前!?なんだっけ…って思ってしまうほど

あたしにとっては夢を見てるみたい


「ユイです。」

「ユイちゃんね。また見に来てね。」


そう言うと先輩は立ち上がり後輩たちの輪に戻っていった。


先輩のとなりに座れた
数秒間がこんなにも
しあわせに感じれるなんて。


これが初恋だった。
< 4 / 30 >

この作品をシェア

pagetop