先生と準備室 後編
運転してる凌久にバレないように

静かに自分で涙を拭う。

拭っても拭っても涙は止まるどころか

溢れてくる。

「うぅ…っん……ヒック…」

「着いたよ。え…佳奈…?」

車が止まった。

目の前には家。

横を見ると凌久が私を見ていた。

「っ…」

「佳奈…」

私が涙を拭っている手を凌久が掴む。

「ごめ…離して…」

「え?」

「今…私…凌久を傷つける…言葉しか、
言える…自信ないっ…」

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