先生と準備室 後編
俺は驚いた。

だって、佳奈の唇は擦りすぎたのか

切れていて血が薄っすら滲んでいたから。

「おいで?佳奈」

優しく声を出す。いつもなら嬉しそうに

抱きついて来たり、少し照れた顔で

ゆっくりギュッてしてくれるのに今日は来て

くれない。

さらに佳奈は

「こんな自分が…自分が嫌なの…」

嫌で嫌で仕方ない。そう言って

唇を手で何かを落としとるように擦る。

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