危険な恋の始めかた

…………


ケーキ屋さんは、小さい頃からの憧れだった。

見た目からもう可愛すぎるその存在に囲まれてお仕事が出来たら、毎日がどんなに幸せだろうって。

だから今は凄く幸せだ。いや、幸せなんだと思うことにしてる。

だって、実際は大変すぎるくらいに大変だから。


「ほら由香ちゃん、笑顔笑顔」

「…はぁい」


そして今日も、思わずため息を吐きかけた時、ふと先輩にそうやって注意を受けた。

…仕事中に指摘されることなんかしょっちゅうだ。

ああもう本当に面白くない。

特に、あの噂の「彼」が表に出たその瞬間はあたしのストレスがピークに達する。


「あの、ショウタくんいますか!?」

「ちょっと呼んでほしいんですけど、」

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