もっとちょーだい!
敦(あつし)くんと喜良(きら)くん。
二人はあたしと同い年で、隣の空き部屋に越してきた隣人だ。
性格が何かと凸凹な二人と出会って、早半年。
最初は、もともと付き合っていたダーリンが何故かトツゼン姿を消した寂しさから二人に心を閉ざしていたけれど、今ではかなり打ち解けてきたと思う。
いや、打ち解けすぎてきた…と、思わなくもない。
だって、いまこの二人は…
「ね、里歩ちゃーん。ビール無くなっちゃった!」
「冷蔵庫の新しいヤツ持ってきてー」
「…」
何故か、あたしの部屋で勝手に飲み会を開いているから。
どうしてこんな展開になったのか、あたし自身も本当に謎で。
あれは確か夕飯後。テレビを見ながらソファーで寛いでいたら、いきなりチャイムと共に二人がずかずかと入ってきて、コンビニで買ってきたらしいたくさんのビールを広げ…今に至る。
いきなり何してるの、と言ったら敦くんが「里歩の部屋で飲みたくなったから」だって。
いや、それちゃんとした理由になってないし!
それでも。
独り暮らしは寂しいし、いきなりでもこうやって来ると、あたしの中のそれも少しは和らいでくれる。
だからあたしは怒るに怒れなくて、二人の前にもう何本目かわからないビールを置いた。
「はいどーぞ。ってか飲み過ぎじゃない?」
そう言いながら、あたしが二人に目を遣ると、喜良くんが言う。
「だーいじょーぶ、大丈夫!これでもここ1週間はビール禁止にしてたんだから、俺達」
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