もっとちょーだい!
だからゆっくり飲ませて、と。
目の前の新しいビール缶を開ける。
っていうか、ゆっくり飲みたいなら自分の部屋で飲めば良くない?
そう言おうとしたら今度は敦くんが言った。
「そうそう。まぁ喜良の禁止期間は短すぎだけど、俺なんか3ヶ月我慢したからね。頑張った俺ってすばらしー」
そう言って、勢いよくビールを飲み干していく敦くん。
…二人のその姿はカッコイイんだけどなぁ。
お互いに一つのソファーに隣同士で並んで座って…仲良すぎか!
あたしはそんな二人を横目に、向かい側のソファーに座って言う。
「3ヶ月我慢って、何で」
「そりゃあ健康のため?まぁお気に入りのビールが急激に値上がりしたのもあるけど」
「へー…敦くんが健康に気を遣うとか意外だわ」
そう言って、あたしも。
冷蔵庫の中に冷やしておいた、ブドウのチューハイを開ける。
そして一口、口に含むと、その会話を聞いていた喜良くんが言った。
「俺も!俺も健康に気を遣ってるよ、里歩ちゃん!」
「え、喜良くんも?」
「うん!酒禁止!…は、1週間で終わったけど、タバコは吸ってないし!朝晩ランニングしてるし!」
「え、そうなの!?」
それは初耳だ。
あの喜良くんが朝晩ランニングとか、それこそ意外すぎる。
しかしあたしがそんな喜良くんの言葉に驚いていると、敦くんがすかさず喜良くんに言う。