僕等の、赤。
「なんで俺の返事聞かないの?」

 やっと喋った唐沢の顔をうっかり見てしまい、どうしようもなく恥ずかしくなって、一瞬で目を逸らした。

「……だって、ずっと何も話さないから」

「ビックリするでしょ。こんな展開になるなんて思いもしなかったから。それに俺、遠距離とかって出来んのかなって……」

 唐沢はきっと、遠回しにお断りをしているのだろう。はっきり言わないのは、唐沢の優しさなのだろう。

「……無理ですよね。無理しなくて大丈夫です」

「無理っていうか、お互いに負担がかかるのはあんまり良くないかなって思って。どうしたら一緒にいられる時間を確保しやすいかなと思って。取りあえず、今日は俺ん家泊まりなよ。明日始発で帰れば仕事間に合うよね?」

「……え⁉」

 予想だにしなかった唐沢の言葉に、逸らしていた目を唐沢に戻してガン見。
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