僕等の、赤。
「ご想像にお任せします」

 蒼ちゃんは、切ない顔で笑ってみせると、返答を避けた。

「想像に任せちゃったら、蒼ちゃんは私のことが好きってことになっちゃうよ。いいの⁉」

「答えは言わない。言っちゃったらサバちゃん、俺が産まれてきたとき、俺のことそういう目で見そうじゃん」

 蒼ちゃんが、口に両手を当てて『絶対言いません』ポーズをした。

「想像に任せられてしまったから、言わなくたってそういう目で見ちゃうよ」

「それでも言わなーい」

 頑なに返事を拒否した蒼ちゃんはこの日、そのまま姿を消してしまい、以降1度も現れなくなった。
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