僕等の、赤。
僕等の、赤。
「これ、本当に蒼ちゃんが書いた脚本だと思う? がっくん」

 事務所で拓海と2人、佐波野ミソノさんという作家が送ってくれた、蒼ちゃんが書いたというシナリオを読む。

「うーん。蒼ちゃんっぽいんだよねー。蒼ちゃんが書きそうっちゃ、書きそう」

 良くできたシナリオに唸りながらも、本物なのか半信半疑。

「佐波野ミソノさんってさ、今結構売れてる作家さんだよね。そんな人がイタズラでこんなこと、普通しないよね?」

 蒼ちゃんのものであって欲しいが、なにせ証拠がない為、拓海が目の前でやるせなく戸惑っている。

「それにさ、こんだけ面白いストーリーだったら、普通自分名義の作品として世に出さない? わざわざ【蒼ちゃんの作品です】って言う必要なくない? 蒼ちゃんと佐波野さんがどんな関係だったかは知らないけどさ、蒼ちゃんは佐波野さんを信頼してたから彼女にデータを渡していたんだと思うし、そんな佐波野さんだから、自分の手柄にすることなく、俺らに蒼ちゃんの作品を送って来たんじゃないかな」

 蒼ちゃんが書いたと信じたい俺は、蒼ちゃんの脚本だという根拠だけを探る。
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