僕等の、赤。
「とりあえず、マルオにデータ送ってみるか」

 拓海がパソコンに手を伸ばし、メールの作成画面を開いた。

 マルオは今も、活動を再開していない。最近は少し落ち着いて来たようだが、それでもまだ復帰出来るほど回復していない。

 マルオとはこまめに連絡を取り合っているが、拓海も俺もマルオを急かすようなことは言わない。

 マルオの気持ちが分かるから。俺たちだって、ずっと辛くて悲しくて寂しい。

「読むかなー、マルオ」

 拓海のメール作成文を眺めながら、マルオを案ずる。

「どうだろうね。でも、無理なら無理でいいよね。辛い思いをさせてまで読ませなくても。ほい、送信」

 拓海が『パシン』とENTERキーを押した。
< 366 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop