僕等の、赤。
「ただいまー。出版社から郵便物届いてたよ」

 そこに、夕食の買い出し帰りの唐沢(今や私の唐沢ですが)が帰ってきた。

「ほい」

 唐沢は、私の手からリンゴジュースを抜き取ると、代わりに郵便物を手渡した。

「リンゴジュース飲もうねー」

 そして、目尻を下げ息子に駆け寄る唐沢。

 唐沢は予想外に、家事育児を率先してやってくれる。結婚前はそんなこと、全く期待していなかったが、嬉しい誤算だった。

「ふふふ」

 息子が可愛いのは当然だが、そんな息子にメロメロでデレデレな唐沢も何だか可愛くて、笑いが零れてしまう。

 私は今、とても幸せだ。

 戯れる息子と唐沢に目を細めながら「なんだろう?」と、出版社から送られてきた郵便物を開封。
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