夜の音-元ヤクザとJKのアブない同居生活-
困らせたまま、悩ませたままなら……俺の我儘でもっと困惑してればいい。

欲を曝け出すことが那月を傷つけることだって解ってても、気持ちを伝えられないが故の歪んだ思いに体が動いた。

那月の首筋に顔を近づけると、また微かに体が震える。

「はる……だめ……」

弱々しい声で否定されても、それすら愛おしくて余計に欲を掻き立てた。

「無理」

細い首を甘噛みすると、びくんっと那月の体が反応する。

「〜っ……悠っ、からかわないで……!」

「からかってない」

ちゅっ……と痕が残るように首筋へ唇を当てた。

「ん……っ」

強く吸って離す。

「からかってない印」

ふと腕の力を緩めた隙に那月が抜け出して、落ちていた枕を拾う。

「っ……ばか!変態!」

思いっきり投げられた枕が顔に直撃し、那月が部屋を出ていく。

「だっ……待っ、那月!!」
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