夜の音-元ヤクザとJKのアブない同居生活-
「何かやることあるか?」

カウンターキッチンの向かいから悠の声。

振り返って奥のリビングを見ると、いつものことながらテーブルには既に食器や箸が用意されている。

「……今日は休みで家のこと色々してくれたでしょ?洗濯とか。だからいいよ?ゆっくりしてて」

って言っても、落ち着かないんだろうけど。

悠は仕事バカだからなぁ。

もう少し甘えてくれてもいいのに、それが悠にとって難しいことだって分かってる。

今は喫茶店を開いて働いてる悠だけど、昔は常に誰かの為に働いて、生きる為に自分を犠牲にしてたらしいから。

お互いの生き方が変わって一年経とうとしている今でも、濃く染み付いた習慣はなかなか変わらない。

「静かに待ってようと思ったんだが、今日はいつも以上に落ち着かなくてな?ほら、明日は久々に二人揃って休みで出掛けるから、楽しみなんだ」

「今から?」

「あぁ、今からワクワクしてる」

優しく微笑む悠の顔にドキッとする。

「そ、そう……あ!先にお風呂入ってきたら?ね?」

気持ちを見透かされないように顔を背けた。

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