夜の音-元ヤクザとJKのアブない同居生活-
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「ふぅ……」
自らの深いため息とシャワーの音だけが響いた。
「やばかった……」
何が、格好良いだ……素直か。
私は好きだよなんて言葉で、自分の暗い過去も罪も赦してしまいそうになる。
那月が過去の俺を知った上で受け入れてくれているように、俺も那月のしてきたことを含めて全て受け入れている。
愛してるから。
一緒に暮らして、愛おしく思うことが多々あって、それでも気持ちを伝えないのは、結ばれようとしないのは……お互いに「自分は汚れているから」と線引きしていて、本当に大切なものを汚すのが怖いからだ。
「怖いけど、さぁ……」
自分の考えに口答えするように、シャワーの音に紛れて言葉を小さく溢す。
「好きだよ」
苦しい胸の内を曝け出せたらどんなに楽だろう。
本能のままに触れることができたら、永遠の約束を交わすことができたら……。