好きになっては‥‥いけない人

私は·····

あの日から母とは
最低限の会話しかしていない。

そんな私達を見て
何も知らない父は、
「花の遅い反抗期か?」
と、笑っていた。

朝、園に行くと
矢野先生にいきなり
引っ張られて、応接室に連れて
行かれた。
「······ん?·····先生っ?」
「花先生?自分がどんな顔してるか
わかってる?」
「えっと······普通だ‥と······」
「何が、普通なの?
そんな顔で
子供達が怖がるわよ。」
と、言われて
返事ができずにいると
「・・・・・・・・・」
「今日は、そのまま勤務しなさい。
帰りは私が連れて帰るからね
わかった?」
「‥‥‥‥‥は‥‥いっ‥」
私は、応接室を出て勤務についた。

そんな私の後ろ姿を
矢野先生が心配そうに見ているのも
知らずに・・・


なんとかその日の勤務を終えて
私は矢野先生と一緒に
保育園を後にした。

矢野先生に連れられて向かった先は
··········四季········

稜さんは、私の顔を見て
驚きながら、悲しそうな顔をした

矢野先生と稜さんは、
同級生で仲よしだ。

私は、個室に通され
座るように言われた。

私は、今までの全てを
矢野先生と稜さんに話した

泣きながら、ポツポツ話す私の言葉は
聞きづらいはずなのに
二人は、黙って聞きながら
相づちをうったり
私の背中を擦ったりしてくれた。

ずっと、眠れていない
私は、安心したからか
泣き疲れたのか
いつの間にか······
眠ってしまった。

私が寝ている間に
矢野先生と稜さんは話しあい
私を稜さんの家の空き部屋に
住まわせる事にした。

話がまとまると
矢野先生は、私の自宅に電話をして
母に、このままでは
私が壊れてしまう
そんな、私を放置できないと
母を叱ったようだ。

母は、
「娘を宜しくお願いします。」
と、泣いて頼んだと・・・
後に聞いた。

矢野先生は、母が用意した
私の荷物を運んでくれ
後の必要な物は購入する
と、言ったらしい。

目を覚ました私は・・・
えっ、ここは?
と、思っていると

「花ちゃん、目覚めた?」
「えっ、稜さん?」
「そう、ここは、私の家よ。
四季の裏にある。」
「稜さんの家?」
「愛子(矢野先生)と話して
花ちゃんを私の家に住まわせる
事にしたの。
勝手にしてごめんね。」
と、言ってくれた。

私は、首をふりながら
二人の優しさに涙が溢れていた

「ほらっ、ご飯食べて。
仕事でしょ。」
と、言われ
稜さんと一緒に
稜さんの家の
ダイニングに向かった。
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