好きになっては‥‥いけない人

花·····

姉が事故にあってから
二ヶ月が過ぎた。

稜さんとの生活も
三週間を迎え
私の中では、穏やかな日々が
流れていた。

稜さんから毎日のように
「どうして、こんなにサービス残業が
多いの?花の体が心配。」
と、言われている。

私が園の仕事を持ち帰ることが
多いいからだけど。
中々、園にいる時間だけでは
終わらないのが現状。
他の先生方も同じだけど・・

子供が本当に好きでないと
決してやれない仕事だと
私も思っている。

だけど、
お世話になっているだけでは
申し訳ないから
忙しい稜さんにかわり
二人で食べるご飯は、
私が作るようにしている。

そろそろ・・・
お姉ちゃんのギプスが
外れた頃だろうなぁ
と、思いながら
たった、一人の姉の幸せを
見ることができずに
怪我をしている姉から
離れる事を選んだ・・
薄情な妹・・・・

ごめんね。
でも、もう少しだけ待って
きっと、二人を祝福できるように
なるから・・もう少しだけ・・・
と、思いながら‥‥‥

今日も仕事を終えて
稜さんの家に戻ろうと・・・・


‥‥‥おね‥‥え‥‥ちゃ‥ん‥‥

そこには・・
私に微笑みながら、立っている姉がいた。

「めい、元気にしてた?」
「‥あっ‥うん、お姉ちゃん、
手の固定外れたの?」
「うん。まだ、リハビリ中だけど
もう全然、平気。
だから、マンションに戻って
生活してるの。」
「えっ、マンションに?
じゃ、今日は、どうしたの?」

お姉ちゃんのマンションは
会社に近いところだ。
稜さんの家や実家は、
会社から30分はかかる・・・・・・

お姉ちゃんのマンションから
離れているのに‥‥なぜ?

「今日は、花に会いに来たの。」
「えっ‥‥私に?」
「そう、花に。
稜さんには、ちゃんと話をしているから
心配ないよ。」
「‥‥‥うん‥‥」
と、言うと
姉は、湖の方に歩いていく
私も、その後をついていく

「本当に、綺麗な所だよね。」
「‥‥そう‥だね。」
「めい、そんなに固くならないで。
たった一人の妹に嫌われてるのかと
悲しくなるから」
「‥‥きら‥う‥だ‥なんて。」
「だけど、沢山、
心配かけて、ごめんね。
それに、嫌な思いも
辛い思いもさせてしまって‥‥
本当に、ごめんなさい。」
と、頭を下げる姉に
花は、黙って首を横にふる
そんな私に姉は、
「ありがとう。
あのね、私の事故なんだけど
私は自殺をしようと
したんじゃないのよ。
そりゃ、大輝と花の事は
多少なりにショックは受けたよ‥‥」

えっ、お姉ちゃん‥記憶‥‥

「あっ、記憶戻ったの。
先に、言わないと行けなかったね。
お父さん、お母さんにも
きちんと、話したよ。
もちろん、大輝にも
あの時ね、小さな動くものが
道路を横ぎって
慌てて除けるのに
ハンドルを切ったら
加減がきかなくて
気づいたら病院だった。


なぜ、病院にいるのかも
わかってなかったけどね。
だから、私は自殺しようとしたんじゃ
ないのよ。
その事を花に伝えたかったの。
それと、花。
お父さんとお母さんが
花が家を出てから
辛い思いをしているの
特に母さんが。」
「えっ、‥‥お母‥さん‥が?」
「うん。花を叩いた事も
花を助けられなかった事も。
きいたよ。」
「そんな‥‥私が‥勝手に
逃げ出しただけ‥なのに。」
「一度、帰って
お父さんとお母さんと
話してくれないかな。
私が皆を巻き込んだせいだけど。」
「お姉ちゃんだけのせいじゃない。
だけど······わかった······帰ってみるね。」
「うん。そうしてくれると嬉しい
だけど、花が帰っても良いと
思ってからで良いよ。
花の気持ちが大事だから。」
「うん。わかった。」
「そして、もうひとつ
花にお願いがあるの。
少し、ここで待っていてくれる?」
「‥‥‥うん·····。」
私は、お父さん、お母さんにも
辛い思いさせてしまって
自分だけ、逃げ出して・・
どうしたら‥‥いいんだろう‥‥
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