コール・ミー!!!
センちゃん:サエキ超ムカつく。死ね
イーコ:いつの間に久世君と仲良くなったの?…サエキのバカ
モッチ:アプリは妹の手柄だよ。なんでサエキが威張ってるんだか
センちゃん:そういえば図書館でサエキと久世がイチャイチャしてた所、見かけた!
モッチ:この間、2人が動物園デートしてたって噂あったよね、本当かな?
イーコ:…付き合ってるのかな?サエキ許せない
センちゃん:ぬいぐるみ女サエキ、キモ。モッチ、あんな部活早く辞めれば?手芸部ダッサ!
イーコ:活動してます、って内申書アピールのためでしょ。活動なんかよりあの人達はお茶飲んでるの。お茶大好きだからサエキは
モッチ:内申書のためには、ユーレイ部員やるしかないんだよ〜
センちゃん:そういえばさ、ビヤかわくん新曲出したよね!コトリノハ
イーコ:コンサート、当たるかな?
モッチ:絶対行く
イーコ:久世君ってさあ、ZABCのセンターの男の子に似てない?

………。



瑠衣は、深くため息をついた。
つまんないモノを、見てしまった。
「間違い無く私だね、サエキは」

理衣は、瑠衣に聞いた。
「どうするの?サエキは」

瑠衣は、キッと妹を睨んだ。
「アンタもサエキでしょうが」



こうなる事は、予測済みだ。
トオヤと友達になると決めた瞬間から、思いっきり覚悟していた事だ。


でも、酷い。


自分の事は何を言われても別に構わないが、手芸部の悪口まで言うなんて!

「サエキはどうしよう…」

急に思い出して、サエキ瑠衣はサエキ理衣に怒り出した。

「それよりも理衣!!これって犯罪行為じゃない?」


あんたは警察組織か、ハッカーか!
毎度毎度、ドラえもんみたいな事をして!


「何だか、お姉が最近ピリピリしてて危なそうだったから、調べさせてもらっただけ」


「こんな事して、あんたが警察に捕まったら、どうするのよ!!」


理衣は、拳を胸に当てて神妙な顔をしてこう言った。
「うまく逃げます」

瑠衣はため息をついた。
日の当たる場所で、生活して欲しい。


悪口や噂話を言うのが大好きな人達は、仙崎さん達に限らず、どこにだっている。いちいちこういう人達を真正面から相手にして、大切な時間や気力を使ってしまうのは、とても勿体無い。


いきなり現れた美少年のトオヤが瑠衣と仲良くし始めたら、飯田さん(イーコ)みたいにヤキモチを焼く人だっているし、その気持ちも少しはわかる。


だけど、文句があるなら堂々と、正面からハッキリ言って欲しい。仙崎さん(センちゃん)なら、LINEで悪口言わなくたってズバッと本人に言えそうなものだ。コソコソとこういう方法で、バレない様に悪口を言うのは、卑怯で卑劣だ。


それに、望月さん(モッチ)!
影で人の悪口言ってないで、早く部活に戻って来てよ!!


自分が友達としたいのは、こんなに下らない会話ではない。絶対に、ない。


ビヤかわくんのコンサートの話以外は、クズ会話だ。



「どうしよっかな…」







月曜日の昼休み。

瑠衣は、仙崎さん達3人グループが、お弁当を食べている席に、つかつかと歩み寄った。

「私も一緒にお弁当、食べてもいい?!」


「…」
「…」
「…」

3人は、絶句した。

「ハア?」

瑠衣は彼女達の座る机に、いきなり近くにある机をピッタリとくっつけて、お弁当を食べながら話し出した。

「私もビヤかわくんのコンサート、申し込んでるの」


「…?」



瑠衣は、続けて仙崎さんを見ながらこう言った。


「仙崎さん、もしお互いに抽選当たったら、私も一緒に行っていい?コンサート」



「…」


いいわけねえだろうが!!
…という仙崎さんの顔。

それはそうだろう。

瑠衣は、今度は飯田さんの方をじっと見た。


「トオヤとは付き合ってないよ。ただの友達」


瑠衣は、急に思い出して付け加えた。


「でも私、トオヤはZABCのセンターのカジモド君には、全然似てないと思う」



「…」
「…」
「…佐伯さん、何を…」


瑠衣は、3人を睨みつけ、有無を言わせない口調で、こう言い放った。


「『ぬいぐるみ女サエキ』でいいよ?…みんな5分でいいから、明日の放課後、キモい私に付き合ってくれない?手芸部の活動、見て欲しいな」


有無を言わせない。
絶対に、逃がさない。
そういう口調で、瑠衣は言い放つ。



「ハア?!!!」


何で、私達が!!!


という顔つきで仙崎さんが、目を吊り上げながら何かを言おうとした、その時。


「俺も行きたい」


購買部にパンを買いに行っていたトオヤが、教室に入って来た。
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